こんにちは。電源LABO、運営者の「きっちゃん」です。
地震や台風などのニュースを見るたびに、もしも自宅が長期間の停電に見舞われたらどうしようと不安になることはありませんか。
災害時におけるソーラーパネルが本当に必要か、あるいはマンション住まいでも役に立つのかといった疑問や、後悔しないための備えに関する情報を集めている方も多いはずです。
実は私自身も、防災グッズを揃え始めた当初は「高価なパネルを買っても曇りの日に使えなかったらどうしよう」と悩んでいました。
この記事では、そんな私が実際に調べて試行錯誤してたどり着いた、失敗しないための知識を包み隠さずお伝えします。
- 災害時における太陽光発電のリアルな有効性と限界点がわかる
- 自宅環境に合わせた最適なパネルの種類とシステム構成を選べる
- ポータブル電源や蓄電池と組み合わせた実践的な運用方法を学べる
- 失敗しないためのスペック確認やケーブル規格の知識が身につく
ソーラーパネルってどうやって発電するの?ソーラーパネルの仕組みについてこちらの記事で詳しく取り上げています。
⇒ソーラーパネルの仕組みを図解!発電原理とポータブル電源連携の基礎
後悔する人の特徴と実態
「災害対策として大金を叩いてソーラーパネルを買ったのに、いざという時に全く役に立たなかった」という声を聞くことがあります。
しかし、これはパネル自体の性能が悪いというよりも、災害時の環境や電気の特性に対する事前の理解不足が原因であることがほとんどです。
ここでは、災害時にソーラーパネルが必要かという議論の核心部分である、実際の使い勝手やシビアな限界について、きれいごと抜きで掘り下げていきます。
役に立たない?スマホ充電と天候による発電量の現実

結論から申し上げますと、ソーラーパネルは「晴天時」には頼もしい発電所となりますが、悪天候時にはその能力は劇的に低下します。
「役に立たない」と感じる人の多くは、この「出力の振れ幅」を過小評価している傾向にあります。
具体的にどのくらい発電量が変わるのか、私の実測経験に基づくと、100Wの定格出力を持つソーラーパネルの場合、以下のような推移になります。
| 天候条件 | 実効発電量 (目安) | できること・できないこと |
|---|---|---|
| 快晴 (正午前後) | 70W 〜 85W | ポータブル電源の急速充電が可能。ノートPCの使用や、複数のスマホを同時に充電しても余裕があります。 |
| 薄曇り | 30W 〜 50W | スマホの急速充電は可能ですが、大容量バッテリーの満充電には数日かかるレベルです。USB扇風機などは稼働します。 |
| 本曇り | 5W 〜 15W | 発電効率は激減します。スマホ1台をゆっくり充電するのがやっとで、画面をつけながらだと充電が増えないこともあります。 |
| 雨天 | 0W 〜 3W | ほぼ何もできません。LEDライトを点灯させる程度の微弱電流で、実用性は皆無と言ってよいでしょう。 |
このように、分厚い雲に覆われた日や雨の日には、発電量が晴天時の10分の1以下になることも珍しくありません。
特に台風災害の場合、暴風域が過ぎ去った後も湿った空気が残り、数日間にわたって雨や曇りが続くケースが多々あります。
冬場の災害はさらに条件が厳しい
また、季節要因も見逃せません。
冬場は日照時間が短いうえに太陽の位置(南中高度)が低いため、夏場に比べて1日あたりの総発電量は半分近くまで落ち込むことがあります。
もし冬の災害時に、曇り空の下でパネルを広げたとしても、期待するほどの電力は得られない可能性が高いのです。
【ここが注意点】
「パネルがあるから電気は使い放題」という認識は危険です。あくまで「条件が良い時にだけ恵みを受けられる」という前提で、乾電池やモバイルバッテリーなどの代替手段も必ず併用してください。
しかし、それでも「全くのゼロ」ではありません。
災害時の情報遮断は死活問題です。
たとえ数ワットであっても、雲の切れ間を縫ってスマホを充電し、SNSで救助要請を出したり、ラジオアプリで避難情報を得たりすることは可能です。
その意味で、「メイン電源としては心許ないが、最後の命綱(情報収集手段)としては極めて優秀であり、持っておく価値はある」というのが、私が現場目線で出した結論です。
蓄電池なしは意味ない?夜間の電力確保と自立運転

自宅の屋根に立派な太陽光パネルを設置しているご家庭でも、「停電したら夜に電気が使えなくて驚いた」という話は後を絶ちません。
これは、太陽光発電システムの基本的な仕組みに由来する「仕様」なのですが、意外と知られていない事実です。
太陽光発電は「その瞬間」しか電気を作れない
当然のことですが、太陽光パネルは太陽が出ている昼間しか発電しません。
蓄電池(バッテリー)がないシステム構成の場合、発電した電気はその瞬間に使い切るか、余れば電線に流れていくだけで、夜のために取っておくことはできません。
災害時の夜、街灯も消え、家の中も真っ暗闇になる状況を想像してみてください。
足元の安全も確認できず、冬場であれば暖房器具も止まり、急激に気温が下がります。
この状況下で、屋根の上に数キロワット分のパネルがあっても、夜間は単なる「屋根の飾り」になってしまうのです。この絶望感が、「蓄電池なしは意味がない」と言われる最大の理由です。
「自立運転モード」の落とし穴
もちろん、昼間であれば「自立運転モード」に切り替えることで、パワーコンディショナ(電気の変換器)についている非常用コンセントから電気を取ることは可能です。
【自立運転の注意点】
この非常用コンセントは、多くの場合、冷蔵庫の裏や家具の陰など、普段触らないような場所に設置されているパワーコンディショナ本体や、特定の壁コンセントに限定されています。
いざという時に「どこにあるか分からない」「家具が邪魔で挿せない」という事態にならないよう、事前の確認が必須です。
さらに、雲が流れて太陽が陰ると、発電量が急激に落ちて電圧が不安定になり、接続している家電の電源が落ちてしまうこともあります。
これでは安定した生活は望めません。
したがって、災害時のレジリエンス(回復力)を本気で考えるのであれば、「発電した電気を貯めるバケツ」、つまり蓄電池とのセット運用が実質的な必須条件となります。
蓄電池があれば、昼間の余剰電力を貯めておき、夜間の照明や情報通信、あるいは冷蔵庫の維持に充てることができ、精神的な安心感は段違いに高まります。
マンションのベランダで発電は可能か?設置の注意点

「うちはマンションやアパートだから、太陽光発電なんて関係ない」と諦めていませんか?
確かに戸建て住宅に比べればハードルは高いですが、工夫次第でベランダ発電は十分に可能です。
ただし、そこにはマンション特有の物理的な制約とルールが存在します。
日当たりと角度のシビアな戦い
ベランダ発電の最大の敵は「影」です。
太陽光パネルは、太陽に対して直角(90度)に光が当たるときに最大のパフォーマンスを発揮します。
しかし、マンションのベランダには、上の階のバルコニー(庇)や、手すり、隣の建物など、影を作る要因がたくさんあります。
特に注意したいのが、パネルの一部に影がかかる「部分影」の問題です。
太陽電池セルは直列に繋がっていることが多いため、一部が影になると、そこが抵抗となり全体の電流を堰き止めてしまいます。
最近の高品質なパネルには、影の影響を最小限に抑える「バイパスダイオード」という部品が組み込まれています。
これは、影になった部分を電気的に迂回させて、残りの部分で発電を継続させる機能です。
しかし、それでも発電量が3割〜5割程度低下することは避けられませんし、安価なパネルにはこの機能自体が備わっていないこともあります。
このリスクを回避するためには、以下の対策が有効です。
- 設置場所を工夫する:
S字フックや突っ張り棒を駆使して、手すりの影を避ける位置にパネルを吊るす。 - 時間帯を限定する:
日照条件が良い正午前後だけパネルを展開し、効率よく充電する。 - 並列接続を検討する:
複数のパネルを使う場合、直列ではなく並列で繋ぐことで、片方が影になってももう片方の発電を維持しやすくなります。
安全管理と近隣トラブルの回避
高層階のマンションの場合、風の影響を強く受けます。
もし突風でパネルが飛ばされ、落下して地上の歩行者や駐車場に被害を与えた場合、その責任は重大です。
養生テープやカラビナ、ロープを使って二重三重の固定を行うことは絶対条件です。
また、パネルのガラス面が太陽光を反射し、向かいのマンションの部屋に強烈な光(反射光)を浴びせてしまう「光害トラブル」も報告されています。
災害時とはいえ、ご近所トラブルを避けるためにも、反射の少ないETFE素材(マット加工されたもの)を選ぶなどの配慮が必要です。
太陽光発電のみで冷蔵庫は動く?停電時の限界を知る

停電時に一番困る家電の筆頭として「冷蔵庫」が挙げられます。
「せっかく太陽光パネルがあるんだから、冷蔵庫の中身を腐らせたくない」と考えるのは当然ですが、実はこれをパネル単体の電力で行うのは、技術的に非常に難易度が高いチャレンジです。
【前提知識:住宅用とポータブルの違い】
ここでは主に、住宅の屋根に設置された太陽光パネルから「自立運転コンセント(AC100V)」を使って冷蔵庫を動かすケースを想定しています。
※折りたたみ式のポータブルソーラーパネルは出力が直流(DC)のため、ポータブル電源を介さない限り、物理的に冷蔵庫のコンセントには刺さりません。
「突入電流」という見えない壁
冷蔵庫は、庫内を冷やすためにコンプレッサー(モーター)が動き出す瞬間、通常運転時の約4倍から10倍もの大きな電流を必要とします。
これを「突入電流(始動電流)」と呼びます。
例えば、定格消費電力が150Wの冷蔵庫でも、始動時には1000W近い電力を一瞬だけ要求することがあるのです。
一方、一般的な住宅用パワーコンディショナの自立運転出力の上限は1500Wに制限されています(出典:太陽光発電協会(JPEA)公式サイト)。
もしこのタイミングで雲がかかって発電量が落ちていたり、他の家電(スマホ充電器や扇風機など)を併用していたりすると、供給電力が一瞬で不足し、パワーコンディショナの保護機能が働いて給電がストップしてしまいます。
冷蔵庫側も、電圧不足でコンプレッサーがガタガタと振動し、最悪の場合は故障するリスクすらあります。
※最新のインバーター制御の冷蔵庫など、始動時の電流が抑えられている機種もありますが、災害時の電源確保においては、古い機種や最悪のケースを想定して余裕を持った計算(安全側のマージン)をしておくことが鉄則です。
インバーターとは?こちらの記事で詳しく取り上げています。
⇒インバーターとは?わかりやすく基本と役割を解説
安定化には「バッファ」が必要
このように、負荷の変動が激しいモーター系家電や、安定した電圧を必要とする精密機器を、天候任せの太陽光パネルだけで動かすのは現実的ではありません。
冷蔵庫を動かしたいのであれば、やはりここでも「ポータブル電源」や「家庭用蓄電池」を間に挟むことが正解となります。
バッテリーが電力のダム(バッファ)となり、突入電流による瞬間的な電力消費を吸収してくれるため、安定して冷蔵庫を稼働させることができます。
もしパネル単体で凌ぐなら、冷蔵庫は諦めて、保冷剤を入れた高性能なクーラーボックスに移し替える方が、食材を守れる確率は高いでしょう。
ポータブル電源セットが最強?後付けでの備え方


ここまで見てきた通り、屋根置きのソーラーパネルだけでは、夜間の電力不足や家電の稼働に不安が残ります。
そこで、災害対策として最もコストパフォーマンスが高く、柔軟に対応できる構成として推奨したいのが、「持ち運びできるソーラーパネル」と「大容量ポータブル電源」のセット運用です。
なぜこの組み合わせが最強なのか
このセットの最大の強みは「機動性」と「導入ハードルの低さ」にあります。
屋根に設置する固定式のシステムは数百万円規模の投資が必要で、工事も伴うため賃貸住宅では不可能です。
しかし、ポータブル電源セットなら数万円〜20万円程度で構築でき、工事も不要です。
さらに、「フェーズフリー(日常時と非常時を分けない)」という観点からも非常に優れています。
普段はキャンプや車中泊、庭でのワーケーションなどで楽しみながら使い、台風が近づいたらフル充電にして備える。
もし自宅が被災して避難所へ行くことになっても、このセットなら持ち運んで自分だけの電源を確保できます。
システム構成別のメリット・デメリット比較
それぞれの導入パターンにおける災害時の実用性を比較してみましょう。
| 構成パターン | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 太陽光パネル単体 (折りたたみ式など) | 導入コストが最も安い 軽量で持ち出しが容易 | 夜間は完全に無力化する 雲で発電が途切れると充電エラーが起きやすい |
| パネル+ポータブル電源 (推奨モデル) | 夜間も電気が使える AC100V家電が安定して動く 持ち運んで避難所でも使える | 家全体のバックアップは不可 配線の繋ぎ変えが必要 |
| 屋根ソーラー+定置型蓄電池 (ハイブリッド型) | 停電時も自動で切り替わる 普段通りの生活レベルを維持可能 | 数百万円の高額な導入コスト 後付け設置が難しい場合がある |
もし予算に限りがあるなら、まずは小容量のポータブル電源と100W程度のパネルから始めてみるのが良いでしょう。
後から買い足して拡張することも可能です。
\ Jackeryはソーラーパネルとのセットがお得! /
災害時にソーラーパネルは必要か結論と失敗しない選び方
ここまで、災害時における太陽光発電の現実的な側面を見てきました。
「やはり安心のためにソーラーパネルを持っておきたい」と決意された方に向けて、ここからは具体的な選び方を深掘りして解説します。
災害時にソーラーパネルが必要かという問いへの答えは「Yes」ですが、それは「正しいスペックのものを選べれば」という条件付きです。
見た目は同じような黒い板でも、中身の性能は雲泥の差があります。
安物買いの銭失いにならないよう、プロ視点でのチェックポイントを押さえましょう。
折りたたみ式とETFE素材がおすすめな理由と耐久性
災害時は、ガラスの破片が散乱していたり、避難のためにリュックに詰めて持ち運んだりと、機材にとって極めて過酷な環境になります。
据え置き用の重いガラス製パネルを持ち歩くのは現実的ではありません。
そこで私が強くおすすめするのが、「ETFE素材」を採用した折りたたみ式ソーラーパネルです。
ETFEとPET、素材で寿命が変わる

ポータブルソーラーパネルの表面素材には、大きく分けて「PET」と「ETFE」の2種類があります。
安いパネルによく使われるPET素材(ペットボトルと同じ素材)は、長期間紫外線に当たると白く濁ったり(白濁現象)、熱で変形したりしやすく、寿命は2〜3年程度と言われています。
一方、ETFE(フッ素樹脂)は、飛行機の配線被覆やドーム球場の屋根材にも使われる高耐久素材です。
従来のPET素材に比べて以下の点で圧倒的に優れています。
- 耐熱性:
真夏の炎天下で表面温度が上がっても変形しにくい。 - 耐候性:
紫外線による劣化が極めて少なく、光の透過率(=発電効率)を長く維持できる。 - 防汚性:
表面がツルツルしており、災害時の砂埃や泥汚れもサッと拭き取れる。
災害対策として購入するものは、いざという時に「経年劣化で発電しなかった」では意味がありません。
少し値段は高くなりますが、長期保存と過酷な使用に耐えるETFE素材を選ぶことは、信頼性を買うという意味で非常に重要です。
持ち運びやすさと設置の自由度
また、折りたたみ式のパネルには、背面に「キックスタンド(自立用スタンド)」が付いているものを選びましょう。
太陽の位置は刻一刻と変わります。
スタンドの角度を調整して、常に太陽にパネルを正対させることができる機能は、限られた日照時間で1ワットでも多く電気を稼ぐために必須の機能です。
変換効率と出力ワット数の目安!100Wで足りる?

パネル選びで一番悩むのが「何ワットのものを買えばいいか」ですよね。
「100Wのパネルなら100W発電する」と思いがちですが、実際にはスペック通りの数値が出ることはまずありません。
私の経験上、快晴のベストコンディションでも定格の70%〜80%程度出れば優秀です。
つまり、100Wパネルの実効出力は70W〜80W程度。これを前提に計算する必要があります。
1000Whクラスの大容量ポータブル電源を1日で満充電にしたいなら、200Wクラスのパネルを用意するか、100Wパネルを2枚連結する必要があります。
【最重要:電圧(Voc)と電流(A)の不一致に注意!】
ここで絶対に避けてほしい失敗があります。
それは、「ソーラーパネルのスペックが、ポータブル電源の許容範囲を超えてしまうこと」です。
特に複数のパネルを接続する場合は要注意です。
- 直列接続の場合:
電圧(V)が倍になります。
もしポータブル電源の入力上限が30Vで、パネル合計電圧が40Vになると、回路が破損して故障する原因になります。 - 並列接続の場合:
電圧は変わりませんが、電流(A)が倍になります。
ポータブル電源側の「最大入力電流(例:12Aまで)」を超えると、故障はしませんが、超えた分の電力はカットされて無駄になってしまいます。
購入前には必ず、パネルの「開放電圧」と「電流値」が、電源側のスペック範囲内に収まっているか確認してください。
端子とケーブルの規格!MC4とアンダーソンの違い

初心者が最も躓きやすいのが、ケーブルの接続端子(コネクタ)の問題です。
メーカーによって規格がバラバラで、「せっかく買ったのに物理的に刺さらない!」という悲劇が後を絶ちません。
変換ケーブルがあれば解決することもありますが、災害時の混乱の中で小さな変換アダプタを探すのは避けたいものです。
代表的な端子規格は以下の通りです。
- MC4:
屋根置きや本格的なパネルで使われる世界標準規格。
防水・防塵性能(IP67など)が高く、コネクタ同士がロックされるため抜けにくいのが特徴です。
EcoFlowなどの高出力パネルでも採用されています。 - アンダーソン(Anderson):
Jackeryの旧モデルなどで採用されていた四角い形状の端子です。
大電流を流せますが、端子自体に防水性がない場合が多いです。 - XT60 / XT60i:
EcoFlowなどで採用。
ドローン界隈でも使われる高効率な端子で、黄色い形状が特徴です。
コンパクトで大電流に強いです。 - DC7909(8mm) / DC8020:
一般的な丸いプラグですが、注意が必要です。
従来は外径7.9mmの「DC7909」が主流でしたが、最近のJackery製品(Pro/Plusシリーズなど)では、大電流の発熱対策としてピンが太い「DC8020(外径8mm)」という新規格が採用されています。
見た目がそっくりですが互換性がないため、購入時は厳重な確認が必要です。
理想は「ポータブル電源と同じメーカーの純正パネル」を買うことですが、他社製を組み合わせる場合は、事前に必ず接続テストを行い、必要であれば予備の変換ケーブルをポータブル電源のポーチに入れておくようにしましょう。
コントローラーとサブバッテリー連携で自作する注意点

DIYが得意な方は、カー用品店で売っている「ディープサイクルバッテリー(サブバッテリー)」とソーラーパネルを組み合わせて、安価に自家発電システムを自作しようと考えるかもしれません。
確かにコストは抑えられますが、専門的な知識が必要です。
この場合、必ず「チャージコントローラー(充放電制御器)」という機器を間に挟んでください。
これがないと、過充電でバッテリーがガスを吹いて爆発したり、夜間にバッテリーからパネルへ電気が逆流して放電したりする危険があります。
MPPTとPWM、どっちを選ぶ?

チャージコントローラーには2つの制御方式があります。
- PWM方式:
安価ですが、電圧差を熱として捨ててしまうため、ロスが大きいです。 - MPPT方式:
高価ですが、電圧と電流を常に最適なバランスに変換してくれるため、PWMに比べて20〜30%ほど多く電力を回収できます。
災害時は少しでも多くの電気が必要です。
予算が許すなら、迷わず「MPPT方式」を選んでください。
ただし、配線のショートによる火災リスクや、鉛バッテリーの重量(20kg以上あることも)を考えると、初心者の方は安全機能がパッケージ化された既製品のポータブル電源セットを選ぶのが無難かつ安全です。
PWMとMPPTの違いについて、こちらの記事で詳しく取り上げています。
⇒PWMとMPPTの違いは?ソーラー発電の効率と選び方を徹底解説
車中泊やEV連携!V2Hで実現する完全オフグリッド

究極の災害対策として注目されているのが、電気自動車(EV)を巨大な蓄電池として活用する「V2H(Vehicle to Home)」システムです。
EVのバッテリー容量は40kWh〜60kWh以上と桁違いです。
一般的な家庭用蓄電池(5〜10kWh)の数倍の容量があり、これと太陽光発電を連携させれば、停電が数週間続いても普段と変わらない生活を送れる可能性があります。
ただし、導入時には重大な注意点があります。
一般的なV2H機器(非系統連系タイプ)の中には、「停電中は太陽光からEVへの充電ができない(EVの電気を使い切ったら終わり)」という仕様のものが存在します。
これは、停電時にパワーコンディショナとの同期が取れなくなるためです。
もし「災害時でも太陽光で作った電気をEVに貯めて、自給自足(オフグリッド)生活を続けたい」と考えるなら、停電時でも太陽光充電が可能な「高機能型V2H」や「トライブリッド蓄電システム」を選定する必要があります。
導入を検討する際は、必ずメーカーや施工店にこの点を確認してください。
災害時にソーラーパネルは必要かを再確認し備えよう
今回は「災害時にソーラーパネルは必要か」というテーマについて、良い面も悪い面も含めて解説してきました。
結論として、ソーラーパネル単体では万能ではありませんが、「ポータブル電源や蓄電池と組み合わせることで、災害時の生存率と生活の質を劇的に向上させる必須アイテムになる」というのが私の考えです。
最後に、購入前の失敗を防ぐためのチェックリストを用意しました。ぜひ活用してください。
【購入前の最終チェックリスト】
- 電圧チェック:
パネルの「開放電圧(Voc)」が、ポータブル電源の「入力電圧範囲」内におさまっているか?
(特に2枚以上使う場合) - 端子チェック:
パネルのケーブルが電源に刺さるか?
(DC7909とDC8020の規格違いに注意!) - 素材チェック:
長く使うなら「ETFE素材」を選んでいるか? - 影対策:
バイパスダイオード内蔵、または影に強い並列回路設計になっているか?
「あの時、買っておけばよかった」と後悔しないためにも、まずはスマホ充電ができる小型のセットからでも良いので、太陽の力で電気を作る体験を始めてみませんか。
平時のキャンプやベランダでのリラックスタイムに使いながら、楽しみつつ備えるのが長続きの秘訣ですよ。
※本記事の情報は執筆時点の一般的な知見に基づいています。電気設備の導入や改造は火災や感電のリスクを伴うため、製品の取扱説明書をよく読み、不安な場合は専門家にご相談ください。
