Jackery1000NewとPlusの違いは?ポータブル電源比較と選び方

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こんにちは。電源LABO、運営者の「きっちゃん」です。

Jackeryの「1000 New」と「1000 Plus」。名前は似ていますが、いざ購入しようと価格を見て、その「金額の差」に驚いた方も多いのではないでしょうか。

実はこの2機種、タイミングによっては実勢価格で10万円近い開きが出ることさえある、全く異なる性質を持ったポータブル電源なんです。

これだけ価格が違うと、「安いNewの方で性能は十分なの?」「高いPlusにはそれだけの価値があるの?」と逆に不安になってしまいますよね。

単なるバッテリー容量やサイズの違いだけでなく、拡張性や寿命、ソーラー運用のしやすさなど、価格差の裏には明確な理由が存在します。

この記事では、その価格差に見合うだけの「決定的な違い」があるのかどうかを徹底的に検証し、あなたが選ぶべき一台をズバリ提案します。

この記事でわかること
  • Jackery 1000 NewとPlusの決定的なスペックの違い
  • 実際の使用シーンに基づいた最適なモデルの選び方
  • 重量やサイズ感がもたらす使い勝手の差
  • 他社ライバル機種と比較した際の立ち位置

Jackeryってどこの国のメーカー?こちらの記事で詳しく取り上げています。
Jackery(ジャクリ)はどこの国のメーカー?米中複合ブランドの実態解明

目次

Jackeryポータブル電源1000NewとPlusの違いを徹底比較

まずは、この2つのモデルが技術的にどう違うのか、スペック表の数値だけでは見えてこない部分まで掘り下げて比較していきます。

単なる新旧の違いではなく、設計思想そのものが異なることが分かります。

どちらも「1000Whクラス」というカテゴリーに属していますが、実際に使ってみるとその性格はまるで異なります。

ここからは、私が実際に触れて感じた細かなニュアンスも含めて、徹底的に解剖していきます。

基本的なスペックと性能の差

項目Jackery 1000 NewJackery 1000 Plus
製品外観Jackery ポータブル電源 1000 NewJackery ポータブル電源 1000 Plus
公式ページ公式ページ公式ページ
基本性能バッテリー容量1070Wh 1264.64Wh
バッテリー種類リン酸鉄リチウムイオン (LiFePO4)リン酸鉄リチウムイオン (LiFePO4)
サイクル寿命4000回4000回
容量拡張非対応 対応 (最大5kWh)
出力性能 (ACパワー)AC定格出力1500W 2000W
AC瞬間最大 (サージ)3000W 4000W
AC電力リフト機能非対応非対応
出力ポート (ポート構成)AC出力 (口数)3口3口
USB-C (口数 / 最大W)2口 (100W×1, 30W×1) 2口 (100W×2)
USB-A (口数 / 最大W)1口 (18W) 2口 (18W×2)
シガーソケット
(DC出力)
12V-10AMax/1口12V⎓10A,最大10A/1口
ワイヤレス充電非対応非対応
入力性能 (充電)AC充電– (緊急充電モード対応)
DC入力最大400W2ポート
合計800W
– 0%→100% (満充電) 最速60分 (緊急充電)約1.7時間 (約100分)
ソーラー充電 (最大W)400W
(3時間)
 800W
(2時間)
シガーソケット充電12時間7時間
その他本体重量 約10.8kg約14.5kg
本体サイズ (幅x奥x高) 327 x 224 x 247mm356 x 260 x 283mm
UPS/EPS切替速度UPS/<20msEPS/<20ms
動作音 (静音モード) 22dB30dB
保証期間最長5年 (3年+延長2年)最長5年 (3年+延長2年)
メーカー希望小売価格 (定価)¥139,800¥168,000
実勢/セール価格 ¥60,000台~ほぼ定価

両モデルの最大の違いを一言で表すならば、「機動力重視のNew」か「拡張性重視のPlus」か、というコンセプトの違いにあります。

「Jackery ポータブル電源 1000 New」は、2024年に登場した最新モデルであり、これまでのポータブル電源の課題であった「大きさ」と「重さ」を徹底的に削ぎ落とした、いわば「持ち運べる高性能」を体現したモデルです。

技術の進化により、バッテリーやインバーターの配置が最適化され、無駄のない筋肉質なボディに仕上がっています。

初めてポータブル電源を手にする方や、女性、高齢の方でも扱いやすいように設計されているのが特徴です。

一方、「Jackery ポータブル電源 1000 Plus」は、単なるバッテリーではなく「システムとしての電源」という性格が強い製品です。

Plusシリーズの特徴であるリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しつつ、後からバッテリーを追加して容量を増やせる「拡張性」を持たせています。

これは、最初はキャンプ用として使い、将来的には自宅の防災システムとして増強するといった、ユーザーのライフステージの変化に寄り添う設計思想です。

コンセプトの違いがもたらすメリット

この設計思想の違いは、実際の運用で以下のようなメリットの差となって現れます。

  • Newのメリット:
    圧倒的な取り回しの良さ。思い立ったらすぐに持ち出せる「気軽さ」があり、日常使いのハードルが非常に低いです。
  • Plusのメリット:
    圧倒的な安心感と将来性。容量不足を感じても買い換える必要がなく、バッテリーを買い足すだけで解決できるため、長く使い続けるシステムとして優秀です。

ここがポイント!
1000 New:軽さとコンパクトさが武器。買ってそのまま単体で完結させたい人向け。
1000 Plus:パワーと拡張性が武器。将来的に容量を増やしたい、より大きな家電を動かしたい人向け。

定価と実勢価格の違いを検証

購入の決め手となる「価格」ですが、ここにはカタログスペックからは読み取れない、衝撃的な「実売価格の差」が存在します。

メーカー希望小売価格(定価)で見るとその差は約3万円程度ですが、実際の市場価格(Amazonや楽天などの実勢価格)で比較すると、その差は劇的に広がります。

実質10万円の価格差!コストパフォーマンスの現実

2024年発売の「1000 New」は、セール時には割引率が高くなる傾向があり、タイミングによっては6万円台〜7万円台で購入できるチャンスがあります。

これは1000Whクラスのリン酸鉄モデルとしては驚異的な安さです。

対して「1000 Plus」は、高機能な上位モデルという位置付けもあり、大幅な値引きが行われる頻度は低めです。

Amazon公式ストアなどでも定価(約16万8,000円)に近い価格で推移していたり、タイミングによっては新品在庫が少なく中古出品のみとなっていたりと、入手難易度と価格のハードルが高い傾向にあります。

つまり、「実質価格には約10万円近い開きがある」というのが現実です。

このため、コストパフォーマンスだけで選ぶなら「1000 New」が圧倒的におすすめです。

「1000 Plus」は、プラス10万円を払ってでも「拡張機能」や「2000W出力」が絶対に必要だという、明確な目的を持った玄人向けの選択肢と言えるでしょう。

重量の違いと持ち運びやすさ

私が個人的に両機種を比較して最も衝撃を受け、かつ最大の差別化ポイントだと感じているのがこの「重量」の違いです。

これまで、安全で長寿命な「リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)」を搭載したポータブル電源は、どうしても「重くなる」のが業界の定説でした。

しかし、Jackery 1000 Newはこの常識を見事に覆しました。

  • Jackery 1000 New(重量:約10.8kg)
    片手で持てるレベル。お米10kg袋とほぼ同じ重さですが、持ち手がしっかりしているため、体感ではもう少し軽く感じます。
    駐車場からテントサイトまで100m歩くのも苦になりません。
  • Jackery 1000 Plus(重量:約14.5kg)
    ずっしりと重い。2リットルのペットボトル約7本分です。
    成人男性でも片手で長時間持つのは厳しく、腰への負担も気になります。
    長い距離の手持ち移動にはキャリーカートが必須です。

3.7kgの差が生活にもたらす影響

数値上の差は約3.7kgですが、これは想像以上に大きな違いです。

例えば、マンションにお住まいで、駐車場まで階段の上り下りがある場合や、防災用に高い棚の上に収納しようと考えている場合、この重量差は「使う頻度」に直結します。

重すぎると、どうしても「出すのが面倒くさい」という心理が働き、せっかくの高性能バッテリーが押し入れの肥やしになってしまいがちです。

その点、10.8kgのNewであれば、掃除のついでにちょっと動かしたり、ベランダでテレワークをするために持ち出したりといったアクションが億劫になりません。

「頻繁に持ち運ぶ」「女性や高齢者が扱う可能性がある」なら、間違いなく1000 Newをおすすめします。

定格出力と使える家電の違い

ポータブル電源を選ぶ際、容量と同じくらい重要なのが「定格出力(W数)」です。

これは「どれだけパワーのある家電を動かせるか」という指標です。1000 Newは定格1500W、1000 Plusは定格2000Wとなっています。

たかが500Wの差と思うかもしれませんが、この差が使える家電の境界線となることがあります。

1500W(New)でできること・できないこと

日本の家庭用コンセントの上限は一般的に1500Wです。

つまり、1000 Newの1500Wがあれば、ドライヤー、電子レンジ、電気ケトル、ホットプレートといった、家庭にある高出力家電の90%以上は問題なく動作します。

キャンプでドライヤーを使いたい、車中泊でお湯を沸かしたいといった一般的なニーズであれば、Newで困ることはまずありません。

2000W(Plus)が必要なシーンとは?

では、なぜPlusの2000Wが必要なのでしょうか?

それは「起動電力(サージ電力)」と「複数台同時使用」への対応力です。

  • 業務用機器や古い家電:
    業務用に近い大型の電動工具や、古いタイプの冷蔵庫、エアコンなどは、動き出しの一瞬に定格の2〜3倍の電力を必要とすることがあります。
    1500Wギリギリのスペックだと、この突入電流で保護回路が作動し、止まってしまう可能性があります。
    Plusの2000W(瞬間最大4000W)なら、これらを余裕を持って受け止められます。
  • タコ足配線的な使い方:
    例えば、1200Wのドライヤーを使いながら、スマホを急速充電し、さらに電気毛布も温めておく…といった使い方をすると、合計出力が1500Wを超えることがあります。
    Plusなら余裕があるため、ブレーカー落ち(過負荷停止)のリスクを減らせます。

「どんな家電を使うか明確ではないけれど、とにかく動かない家電があるのは嫌だ」という方は、余裕を持ったPlusを選んでおくのが安心です。

拡張バッテリー対応の有無

これは、購入後の「拡張性」や「将来性」に関わる、構造上の最も大きな違いです。

ここを理解せずに購入すると、後で後悔することになりかねません。

最大の注意点
Jackery 1000 Newは、拡張バッテリーに対応していません。
本体側面に拡張ポートが存在しないため、購入時の1070Whが容量の上限となります。

1000 Plusが持つ「システム構築」の強み

対して1000 Plusは、専用の拡張バッテリーパック(Battery Pack 1000 Plus)を最大3台までケーブル一本で接続できます。

1台増やすごとに容量が約1260Whずつ増えていき、システム全体で最大5kWh(5000Wh)という巨大なバッテリーシステムを構築できます。

5000Whあれば、一般的な家庭用冷蔵庫を数日間稼働させ続けたり、家族4人のスマホ充電や照明、扇風機などを1週間近く維持したりすることも夢ではありません。

「今は予算がないから本体だけ買って、必要になったらバッテリーを買い足す」というスモールスタートができるのは、Plusだけの特権です。

この「育てる楽しみ」があるのもPlusの魅力と言えるでしょう。

本体のサイズと大きさの違い

ポータブル電源は家の中に置くものなので、サイズ感(占有体積)も重要です。ここでもNewのコンパクトさが際立っています。

1000 Newのサイズは「幅327 x 奥行224 x 高さ247 mm」です。

これは同クラスのポータブル電源と比較しても一回り小さく、業界最小クラスと言っても過言ではありません。

実際に収納してみると分かりますが、奥行きが22cmほどしかないため、本棚やメタルラックの隙間にもすっぽりと収まります。

また、ハンドル(持ち手)が本体に沿ってフラットに折りたためるため、上にちょっとした小物を置いたり、車載時に荷物を重ねたりする際も邪魔になりません。

Plusのサイズ感と収納事情

Plusもハンドルは収納式で天面がフラットになりますが、サイズは「幅356 x 奥行260 x 高さ283 mm」と、Newに比べて全体的に一回り大きいです。

特に高さと奥行きがあるため、軽自動車のトランクや狭いクローゼットに収納する際は、事前にメジャーでスペースを測っておくことをおすすめします。

車中泊などで、限られたスペースを有効活用したい場合、この数センチの差が「荷物が積めるか積めないか」の分かれ道になることもあります。

コンパクトカーや軽バンで旅をする方には、Newのサイズ感がジャストフィットするはずです。

バッテリー容量と実働時間

バッテリー容量は、そのまま「家電を使える時間」に直結します。

カタログスペックでは、Newが1070Wh、Plusが1264Whとなっています。

Plusの方が約194Wh、割合にして約18%ほど容量が大きいです。

194Whの差は実生活でどう影響する?

「2割弱の違いなら大したことないのでは?」と思われるかもしれませんが、具体的な家電の使用時間に換算すると、意外と無視できない差になります。

  • スマホ充電(約15W): 約10回分多く充電可能。
  • LEDランタン(約10W): 約15時間長く点灯可能。
  • 電気毛布(中設定・約50W): 約3〜4時間長く稼働可能。

特に冬場のキャンプや車中泊で電気毛布を使用する場合、この差が決定的になります。

Newだと「朝方の一番寒い時間にバッテリーが切れて目が覚める」という可能性がある場面でも、Plusなら「起床して撤収作業が終わるまで暖かさが続く」という余裕に繋がります。

ギリギリの容量でヒヤヒヤしながら使うよりも、余裕を持って使いたい方はPlusの容量が頼もしいでしょう。

フル充電までの充電時間の差

「出かけようと思ったら充電がない!」という経験、ありますよね。

そんな時に重要なのがACコンセントからの充電速度です。ここではNewが圧倒的なスピードを見せつけます。

Newの「緊急充電モード」が革新的

1000 Newは、アプリで設定できる「緊急充電モード」を使用することで、最速60分でフル充電を完了させることができます。

0%の状態からでも、朝起きてコンセントに繋ぎ、朝食を食べて荷造りをしている1時間の間に満タンになるのです。

これはこれまでのポータブル電源の運用スタイルを変えるほどのインパクトがあります。

Plusも十分速いが、Newには及ばない

一方のPlusは、フル充電まで約1.7時間(100分)かかります。

これでも数年前のモデルが6〜7時間かかっていたことを考えれば爆速なのですが、Newの60分と比較すると「あと少し」と感じてしまうのも事実です。

ただし、バッテリーへの負荷を考えると、常時急速充電をするよりも、時間に余裕があるときはゆっくり充電した方が電池には優しいと言われています。

Plusの充電速度は、バッテリー保護とのバランスを重視した結果とも言えるでしょう。

静音モードと動作音の違い

車中泊やテント内での使用で気になるのがファンの音です。

結論から言うと、静音性においては最新モデルである1000 Newに軍配が上がります。

両機種ともアプリで「静音充電モード」に設定できますが、その静けさのレベルが進化しています。

1000 Newは驚異の「22dB」

Jackery 1000 Newの静音モード時の動作音は、公式値で「22dB」とされています。これは「木の葉の触れ合う音(20dB)」とほぼ同レベルであり、ポータブル電源としては驚異的な静けさです。

対して1000 Plusも「30dB(ささやき声レベル)」と十分に静かなのですが、数値上ではNewの方が圧倒的に有利です。

実際に枕元に置いて寝てみても、Newはファンが回っているのかどうか耳をすまさないと分からないレベルです。

「音に敏感で少しの物音でも目が覚めてしまう」という方は、静粛性で選んでもNewがおすすめできる結果となりました。

ソーラーパネルの充電性能

エコで経済的な「オフグリッド」生活を目指すなら、ソーラーパネルでの充電性能は見逃せません。

Jackeryの純正ソーラーパネル「SolarSaga」シリーズは、変換効率が高く非常に優秀ですが、本体側がどれだけの電力(W数)を受け入れられるかによって、充電完了時間が変わります。

Jackery 1000 Plusは、ソーラー入力ポートを2つ備えており(要アダプタ等の構成による)、最大で800Wまでの入力に対応しています。

これは、200Wのパネルを4枚接続すれば、天気の良い日ならわずか2時間程度で空の状態から満充電にできる計算です。

災害時、停電が長引いても、日中に短時間で電力を回復できる能力は、まさに「ライフライン」としての信頼感に繋がります。

一方、1000 Newは最大入力が400Wまでとなっています。

これでも十分実用的ですが、Plusのような「爆速ソーラー充電」はできません。

本格的なソーラー発電システムを組みたい方は、Plusの入力スペックが魅力的です。

ソーラーパネルの具体的な設置方法や効率的な発電のコツについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。

安全性と保護機能の比較

リチウムイオン電池を扱う以上、発火や事故のリスクは絶対に避けなければなりません。

その点、Jackeryは世界的なトップブランドとして、安全性には徹底的な対策を講じています。

両機種とも、バッテリーセルには現在最も安全とされる「リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)」を採用しています。

この電池は結晶構造が強固で、万が一の釘刺し試験などでも発火しにくい特性を持っています。

さらに、独自の安全技術「ChargeShield 2.0」を搭載。これは、バッテリーの状態をリアルタイムで監視し、温度や電圧に応じて充電速度を細かく調整する技術です。

これにより、急速充電の利便性を享受しつつ、バッテリーへのダメージを最小限に抑えることに成功しています。

また、耐衝撃性や耐振動性についても厳しいテストをクリアしており、車に積みっぱなしで移動する際の振動トラブルにも強い設計となっています。

安全性に関しては、NewもPlusも甲乙つけがたい最高レベルの基準を満たしていると言えます。

サイクル寿命と電池の種類

「高いお金を出して買うんだから、すぐに使えなくなるのは困る」というのは誰もが思うことです。

寿命に関しても、両機種は互角の性能を持っています。

先述したリン酸鉄リチウムイオン電池の採用により、充放電サイクル寿命は4000回を公称しています。

これは、バッテリー容量が初期の70%に低下するまでの回数です。

4000回ってどれくらい?
仮に毎日、空っぽの状態から満タンまで充電し、それを使い切るというハードな使い方をしたとしても、約11年間使い続けられる計算です。
週末のキャンプで使う程度であれば、20年以上使える計算になり、もはや「一生モノ」と言っても過言ではありません。一昔前の三元系モデル(寿命500〜800回)とは次元が違います。

アプリ機能と操作性の比較

最近のポータブル電源はIoT化が進んでおり、Jackeryの両モデルもWi-FiとBluetoothに対応しています。

スマホに専用アプリをインストールすることで、本体の画面を見なくても詳細な情報を確認・操作できます。

アプリでできること

  • リアルタイム監視:
    バッテリー残量(%)、あと何時間使えるか、現在の入力/出力W数の確認。
  • リモート操作:
    AC/USB出力のON/OFF切り替え。
  • 設定変更:
    充電モード(高速/静音)の切り替え、バッテリー充電上限の設定(80%で止めるなど)。

特に便利なのが「充電上限の設定」です。

普段使わないときは80%〜90%程度で保管しておくとバッテリーの劣化をさらに防げるのですが、アプリで上限を設定しておけば、コンセントに挿しっぱなしでも自動で充電が止まります。

この細かい配慮が、長く愛用するためのポイントです。

UPS機能とEPS機能の注意点

在宅ワークやペットの見守りなどで、停電時のバックアップ電源として使いたい場合、両機種の「切り替え時間」には注意が必要です。

両機種とも、コンセントから電気を引きながら家電を使える「パススルー充電」に対応しており、停電時にはバッテリー給電に自動で切り替わります。

しかし、この切り替えにかかる時間は「0.02秒(20ms)以内」とされています。

実はこの「20ms」という数字、デスクトップPC用としては「アウト」になる可能性が高い数値なのです。

【重要】デスクトップPCでの使用は要注意!
Intelが定めるATX電源の設計ガイドラインでは、停電時に電源ユニットが電力を維持すべき時間(ホールドアップタイム)は「17ms(ミリ秒)以上」と規定されています。
つまり、Jackeryの切り替え速度(20ms)では理論上間に合わず、PCの電源が落ちたり再起動したりするリスクがあります。

そのため、私の推奨する運用方法は以下の通りです。

  • OKな家電:
    照明、扇風機、冷蔵庫、水槽のポンプ、ノートPC(バッテリー内蔵のため)など、一瞬消えても問題ない、あるいは動き続ける家電。
  • NGな家電:
    デスクトップPC、ゲーミングPC、NAS(HDD)、医療機器など、一瞬でも電源が切れるとデータ消失や故障の原因になる精密機器。

「仕事の大事なデータを守りたい」という場合は、PCとコンセントの間に「PC専用のUPS(無停電電源装置)」を挟み、そのUPSをJackeryに繋ぐ、といった多重のバックアップ構成をおすすめします。

UPSって何?こちらの記事で詳しく取り上げています。
ポータブル電源はUPSの代わりになる?専門知識と選び方

保証期間とメーカーサポート

Jackeryの5年保証画像
画像引用元:Jackery公式サイト ポータブル電源 1000 Plusページ

海外メーカーの製品だと、故障時の対応が不安という方もいるかもしれません。

しかし、Jackeryは日本法人(株式会社Jackery Japan)があり、サポート体制は非常に充実しています。

基本保証に加え、購入後に公式サイトでユーザー登録(製品登録)を行うことで、保証期間が延長されるサービスが提供されています(モデルや購入時期により3年〜5年など変動があるため要確認)。

公式サイトや正規販売店から購入した製品であれば、日本人スタッフによる丁寧なメール・電話サポートが受けられるため、高価な精密機器を購入する上での安心感は非常に高いです。

転売品やオークションでの中古品は保証対象外となるケースが多いため、長く使うことを考えるなら、必ず正規ルートで購入することをおすすめします。

Jackeryポータブル電源1000NewとPlusの違いで選ぶ

ここまでスペックごとの詳細な比較を見てきましたが、ここからは視点を変えて、「あなたの使い方にはどちらが合っているのか?」という具体的なシーン別の選び方を解説します。

特に、実勢価格で約10万円という大きな差があるため、「その価格差を払ってでも、Plusの機能が必要か?」というシビアな視点で判断してみてください。

ソロキャンプでの使い勝手

Jackery ポータブル電源 1000 Newを持ち運びしている男性
画像引用元:Jackery公式サイト ポータブル電源 1000 Newページ

ソロキャンプ、あるいはデュオ(2人)キャンプがメインであれば、迷わずJackery 1000 Newをおすすめします。

理由は「軽さ」と「浮いた予算の使い道」です。

ソロキャンプは設営から撤収まで全て一人で行う必要があります。

テント、チェア、テーブル、クーラーボックス…と荷物が多い中で、14.5kgのPlusを持ち運ぶのは苦行に近いです。

10.8kgのNewなら、片手でサッと持ち上げて、車の隙間に放り込むことができます。

また、Plusとの差額で、高価なダウンシュラフや軽量なテントが買えてしまいます。「電源はNewでコストを抑え、その分キャンプギアを充実させる」というのが、賢いキャンパーの選択と言えるでしょう。

車中泊におすすめな機種

車中泊の場合は、車種とスタイルによって最適解が分かれます。

軽キャンパー・SUV派なら「New」

車内のスペースが限られる軽自動車やSUVでの車中泊なら、コンパクトな1000 Newが有利です。

また、狭い車内ではどうしても就寝時に頭とポータブル電源の距離が近くなります。その点、業界最高クラスの静音性(22dB)を誇るNewであれば、枕元に置いてもファンの音を気にせず朝まで熟睡できます。

ハイエース・キャンピングカー派なら「Plus」

居住スペースに余裕がある車で、IHクッキングヒーターやドライヤー、電子レンジなどを日常的に使いたいなら、定格2000Wの1000 Plusを選びましょう。

静音性は30dBとNewには及びませんが、それでも図書館レベルの静かさは確保されています。

それ以上に、「自宅と同じ家電が使える(2000W)」というメリットは代えがたいものです。

「車内でも料理やヘアケアに妥協したくない」という快適なリビング環境を求めるなら、Plusへの投資は決して無駄ではありません。

防災や停電対策への適合性

「南海トラフ地震」や「大型台風」など、長期化する停電への備えとして購入するなら、拡張性のあるJackery 1000 Plusが最強の選択肢です。

災害時は、いつ電気が復旧するか誰にも分かりません。

固定容量のNewでは、使い切ったらそこで終わりです(ソーラーパネルがあれば別ですが)。

しかしPlusなら、最初は本体だけ購入しておき、ボーナス時期などに拡張バッテリーを買い足すことで、家庭のエネルギー備蓄を強化していくことができます。

冷蔵庫を止めずに食材を守る、家族全員の情報を守るスマホを充電し続けるといった「要塞(フォートレス)」としての役割を期待するなら、10万円高くてもPlusを選ぶ価値は十分にあります。

「キッチンカーで業務用ミキサーを使いたい」「DIYで高出力な丸ノコを使いたい」といった、明確な高出力機器の使用目的がある場合は、定格2000Wの1000 Plusを選んでください。

1500WのNewでも多くの工具は動きますが、負荷がかかった瞬間に止まってしまうストレスを避けるためにも、出力には余裕を持たせておくのが電源選びの鉄則です。

「大は小を兼ねる」の精神で選ぶならPlusです。

EcoFlowやAnkerなど最新ライバルとの比較

最後に、よく比較検討されるライバルメーカーの「最新機種」との違いを整理しました。

ここ最近で各社とも新モデルを投入しており、1000Whクラスの競争は激化しています。

EcoFlow DELTA 3 Plus

2024年後半に登場した最新モデルです。容量1024Wh、定格出力1500W。

特筆すべきは「拡張性」と「充電速度(56分)」を両立している点です。

ただし、重量は約12.5kgあり、Jackery 1000 New(10.8kg)と比較すると1.7kgほど重くなります。

「少し重くてもいいから、将来バッテリーを足せる拡張性が欲しい」という場合は、Jackery Plusよりも安価に導入できるこちらが有力候補です。

Anker Solix C1000 Gen 2

こちらも改良された第2世代モデルです。容量1056Wh、定格出力1500W。

Gen 2になり放熱構造が見直され、重量が約11.3kgまで軽量化されました。

Jackery 1000 New(10.8kg)との差はわずか500g程度と肉薄しており、スペック上は最大のライバルと言えます。

54分で満充電になるスピードと、Anker特有のスタイリッシュなデザインが魅力です。

【結論】軽さで選ぶなら、依然としてJackery 1000 New
こうして最新機種同士で比較しても、「10.8kg」という軽さにおいてはJackery 1000 Newが依然としてNo.1です。

「スペック上の数値競争」ではAnkerやEcoFlowが勝る部分もありますが、実際にキャンプ場や駐車場で持ち運ぶ瞬間に「ああ、Jackeryにしておいて良かった」と感じる、その体感的な軽さこそがNewの最大の武器と言えるでしょう。

Jackeryポータブル電源1000NewとPlusの違いまとめ

長くなりましたが、結論としてどちらを選ぶべきか、おすすめな人をまとめます。

【Jackery 1000 New がおすすめな人】
(とにかく安く、軽く済ませたい人)
・コスパ重視!浮いたお金を他のことに使いたい人
・とにかく軽くてコンパクトなのが良い人(女性やシニアにも◎)
・ソロ〜デュオキャンプがメインの人
・拡張バッテリーを買う予定がない人


【Jackery 1000 Plus がおすすめな人】
(高くても最強の環境を整えたい人)
・家族でのキャンプや連泊をする人
・将来的に容量を増やせる安心感(保険)が欲しい人
・2000Wの高出力でどんな家電も動かしたい人
・就寝時の動作音(静音性)にこだわりたい人

どちらを選んでも、リン酸鉄リチウムイオン電池による長寿命と安全性は保証されています。

「機動力とコスパ」を取るか、「拡張力と安心感」を取るか。あなたのこれからのライフスタイルを想像して、最高の相棒を選んでくださいね。

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