サブバッテリーの配線と太さの選び方!火災を防ぐ安全設計の基本
こんにちは。電源LABO、運営者のきっちゃんです。キャンピングカーの自作や車中泊仕様の車作りで、一番頭を悩ませるのが電気周りですよね。
特にサブバッテリーの配線や太さについては、何を選べばいいのか分からず不安を感じている方が多いのではないでしょうか。
走行充電システムを自作したいけれど配線図の見方が難しかったり、レノジーなどの人気メーカーの走行充電器を使う際にどの程度の太さが必要なのか、ハイエースのような大きな車だと電圧降下で充電されないのではないかといった疑問は尽きません。
この記事では、私が調べた知識をもとに、初心者の方でも安心して取り組める配線の選び方を分かりやすく解説します。
- 走行充電システムの基本的な配線図と各パーツの役割がわかります
- 許容電流不足による火災リスクを避けるための安全な太さがわかります
- 電圧降下を最小限に抑えて効率よくバッテリーを充電するコツがわかります
- レノジーなどの機器やインバーターに合わせた具体的なスケア数の選び方がわかります
失敗しないサブバッテリーの配線と太さの選び方
サブバッテリーシステムを安全に運用するためには、目に見えない電気の流れを物理的な視点で理解することが大切です。
ここでは、配線選びの根幹となる理論についてお伝えします。

走行充電システム配線図で見る全体構成と役割
システムを構築する第一歩は、電気の通り道を可視化することです。
標準的な走行充電システムの配線図を思い浮かべると、メインバッテリーから走行充電器、そしてサブバッテリーへと繋がる大きな流れが見えてきます。
プラス線には必ず適切な位置にヒューズを割り込ませ、マイナス線はボディアースだけでなく、できればバッテリー同士を直接繋ぐマイナス配線も用意するのが理想的です。
各コンポーネントが正しく繋がって初めて、オルタネーターからの電気がスムーズにサブバッテリーへと運ばれます。
この全体構成を理解する上で重要なのは、各パーツがどのような負荷として機能しているかを知ることです。
メインバッテリー側は、エンジンの始動や車両本来の電装品を支える心臓部ですが、走行充電システムはその心臓部から電力を分けてもらう仕組みです。
配線図のスタート地点はメインバッテリーのプラス端子から始まります。
そこから車内へ配線を引き込み、走行充電器の入力端子へ。
さらに走行充電器の出力端子からサブバッテリーのプラス端子へと接続します。
マイナス側についても、車両の鉄板を介する「ボディアース」は手軽ですが、接触抵抗による電力ロスを防ぐために、プラス線と同じ太さのマイナス線を直接引き込む方法が推奨されます。
ただし、近年の充電制御車などメインバッテリーのマイナス端子に「電流センサー」が備わっている車種では注意が必要です。
マイナス配線は電流センサーを通るように、センサーの車両側(下流のボディアースポイント)に接続するのが定石です。
センサーを通さずにバッテリー端子へ直接戻してしまうと、車両側が「電力を消費していない」と誤認し、発電を止めてしまうリスクがあるためです。 (出典:経済産業省『電気設備の技術基準の解釈』)

許容電流の不足が招く発熱と車両火災のリスク

配線選びで最も怖いのが、細すぎる線に無理やり大きな電流を流すことです。
配線にはそれぞれ流せる電流の限界である許容電流が決まっています。
この限界を超えると、配線自体が激しく発熱し、周囲の絶縁被覆を溶かしてショートを招き、最悪の場合は車両火災に繋がる恐れがあります。
特に大電流が流れるインバーターや走行充電器周りでは、余裕を持った太さを選ぶことが、家族や車を守るための絶対条件となります。
数値はあくまで一般的な目安ですが、安全マージンは常に意識しましょう。
電気抵抗を持つ導体に電流が流れると、その一部が熱に変わります。
これをジュール熱と呼びますが、発生する熱量は電流の2乗に比例して増えていきます。
12Vという低い電圧で大電力を扱うサブバッテリーシステムでは、家庭用100V製品に比べて流れる電流(アンペア数)が大きくなります。
例えば、1200Wの電子レンジを家庭で使うなら12A程度ですが、車内の12Vバッテリーで動かすとなると、理論上は100A近い電流が流れます。
このエネルギーを細い配線で通そうとすれば、配線は短時間で高温になります。
環境温度と「束ね配線」が許容電流を下げる

配線のカタログスペックにある許容電流は「周囲温度30℃」という理想的な条件に基づいた理論上の最大値です。
しかし、車内の夏場は50℃から60℃に達し、さらに配線を束ねたりチューブに収めたりすることで放熱が著しく悪化します。
そのため、実運用では理論値の6割程度を安全推奨電流として設計するのがプロの視点です。
| SQ(スケア) | 対応AWG | 理論上の最大値(30℃) | 安全推奨電流(車内実効値) |
|---|---|---|---|
| 8.0 SQ | AWG 8 | 61A | 約36A |
| 14.0 SQ | AWG 6 | 88A | 約52A |
| 22.0 SQ | AWG 4 | 115A | 約69A |
| 38.0 SQ | AWG 2 | 162A | 約97A |
注意:配線が熱を持っていると感じたら、すぐに使用を中止して太い配線への交換を検討してください。
発熱は火災の予兆です。
電圧降下を抑えて走行充電の効率を最大化する
電気は流れているけれど、なぜか満充電にならないというトラブルの多くは、電圧降下が原因です。
配線が長かったり細かったりすると、そこが抵抗となり、目的地であるバッテリーに届く頃には電圧が下がってしまいます。
特にLiFePO4(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)は電圧管理がシビアなため、わずかな低下でも充電スピードが著しく落ちることがあります。
12Vシステムにおける電圧降下は、理想的には3%以内(約0.36V低下)に抑える設計が推奨されます。
例えば走行充電器が14.4Vで出力しても、バッテリー端で14.0Vまで落ちてしまうと、BMSの充電カーブの影響で「ラスト数パーセント」の充電が極端に遅くなる充電渋滞が発生します。
これを防ぐには、とにかく太い配線を使用し、抵抗を極限まで減らす必要があります。

計算で導き出す最適な送電効率
電圧降下は、配線の長さ(往復分)と抵抗値、そして電流値の掛け算で計算できます。
大型のバンやキャンピングカーでは、エンジンルームから車体後部まで這わせるとあっと言う間に5メートル、6メートルと距離が伸びてしまいます。
リチウムイオンバッテリーを導入しているなら、電圧降下はただの電力ロスではなくシステムの機能そのものを左右する要因であると認識してください。
特に冬場など、オルタネーターの電圧が不安定になりやすい時期は、このわずかな差が大きな影響を及ぼします。
スケアとAWGの規格対応表と正しい選び方
日本で一般的な「SQ(スケア)」と、海外製品でよく使われる「AWG(アメリカン・ワイヤー・ゲージ)」の違いに戸惑うこともあるでしょう。
スケアは断面積を直接表しますが、AWGは番号が小さいほど太くなるという性質を持っています。
例えば、AWG 4(約21.2mm²)に対して日本の規格では22SQ(22mm²)を当てるのが一般的です。
ただし、海外のAWG 2(約33.6mm²)などは、日本の14SQや22SQでは全く足りず、38SQを当てる必要があります。
このように、海外製機材の指定がある場合は、必ずワンサイズ上のSQに「切り上げる」考え方が安全です。

また、柔軟性が高く車内での取り回しが容易なKIV(電気機器用ビニル絶縁電線)を選ぶのも、自作ユーザーにとっては大切なポイントです。
品質・選びやすさともに一番おすすめなのが国内老舗メーカーのFKK(福電)製です。
Amazon公式ストアなら、太さと長さをタイル形式で選べるので間違いがありませんよ。
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安全なサブバッテリー自作キットの見極め方
最近は必要な配線がセットになった自作キットも販売されています。
これらは初心者にとって非常に便利ですが、自分の使いたい電化製品の消費電力に対して、セットに含まれる配線が細すぎないか、必ずチェックしてください。
特にインバーター用のケーブルが細い場合は、別途単品で買い直す勇気も必要です。
安さだけで選ばず、信頼できるメーカーの構成を参考にしましょう。
キットの配線が自分の車のレイアウトに対して長すぎる場合、余った分をぐるぐると巻いて束ねておくのも、放熱の観点からあまり良くありません。
自分の環境にぴったり合う正しい太さと長さを知ることが、既製品を賢く使いこなすための第一歩です。
機器別に見るサブバッテリーの配線と太さの最適解
基礎を学んだ後は、具体的にどの機器にどの配線を使えばいいのか、私の実感を交えて解説します。
ここが実際の施工で最も迷うポイントです。
レノジー走行充電器の性能を引き出す推奨サイズ
大人気のレノジー製走行充電器。
50Aモデル(DCC50Sなど)を使用する場合、5m程度の距離があるハイエース等では、22SQでも電圧降下の影響を無視できません。
安定して最大出力を維持し、効率よく充電するためには、38SQを選択するのが実務上のベストです。
また、昇圧機能により入力側には出力以上の電流が流れることもあるため、メインバッテリー側の入力配線は特に余裕を持たせましょう。

Renogy 50Aモデルを使用する場合の距離別推奨SQ表
- 3m以内:22SQ
- 5m以内:38SQ
- それ以上:60SQ または システムの24V化を推奨
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走行充電システム自作で失敗しない端子処理
どれだけ太い配線を選んでも、端子の圧着が甘ければそこが最大の抵抗源になります。
特に8SQ以上の太い配線には、専用の大型圧着工具や油圧式圧着機が不可欠です。
ガッチリと一体化させることで酸化を防ぎ、振動による抜け落ちも防止できます。
端子部分は熱収縮チューブで保護し、腐食から守る工夫も徹底してください。
接触不良一つで、高価な機材が焼損するリスクがあることを常に意識しましょう。
普通のペンチでは絶対に歯が立ちませんが、アイウィス(IWISS)大型圧着工具は面白いほどきれいに圧着できますよ。
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1500W以上のインバーターに必要な極太線
電子レンジ等を使いたい1500Wから2000Wクラスのインバーターでは、12Vシステムだと変換効率を含め180Aから190Aの電流が流れます。
さらにバッテリー電圧が低下した放電終止付近では、200Aを超えることもあります。
これには38SQでも不足気味であり、60SQ以上の極太線、または38SQの2本並列が推奨されます。
インバーターとバッテリーは最短(1m以内)で繋ぎ、付属ケーブルが細い場合は迷わずアップグレードしてください。

サブバッテリー走行充電セットのヒューズ容量
ヒューズは車が燃える前に電気を遮断するための最後の砦です。
安全のための絶対的な不等式は以下の通りです。
「機器の最大電流 < ヒューズの容量 < 配線の許容電流」
設置場所は、必ずバッテリーの端子から30cm以内の電源供給源のすぐそばに配置してください。

走行充電システムでは、メイン側とサブ側の両方にヒューズを設置します。
走行充電器が故障したり配線が途中でショートした際、どちらのバッテリーからも大電流が流れ出す可能性があるため、双方からの遮断が必要不可欠なのです。
ソーラーパネルからコントローラーへの接続術
ソーラーパネルの配線は、パネルを直列に繋いで高電圧・低電流で運用すれば、3.5SQから5.5SQでも運用可能です。
ただし、ソーラーコントローラーからサブバッテリーまでの間は、降圧されて大きな電流が流れるため、ここも8SQから14SQ程度の太さが必要になります。
屋根からの引き込みは細く、コントローラーからバッテリーまでは「短く、太く」が基本です。
車内敷設で役立つコルゲートチューブの活用
太い配線は重量もあり、走行中の振動で車両の金属部分と擦れると被覆が破れる恐れがあります。
これを防ぐために、エンジンルームから車内へ引き込む箇所や、鋭利な角がある場所を通る際は、必ずコルゲートチューブで保護しましょう。
また、プラスとマイナスの線をペアでまとめることで磁気的なノイズを抑える効果も期待できます。
見た目もプロっぽく仕上がるので、自作派には必須のアイテムです。
豆知識:車内での取り回しには、柔軟性が高い「KIV線」が非常に扱いやすくておすすめですよ。
まとめ:安全なサブバッテリーの配線と太さの知識

サブバッテリーの配線と太さの選び方、いかがでしたか。結論として、迷ったら「一段階太いサイズ」を選ぶことが、安全性と効率の面で安心に繋がります。
リチウムバッテリーなら3%以内、それ以外でも5%以内の電圧降下に抑える設計を心がければ、バッテリーの寿命を最大限に引き出せます。
今回ご紹介した数値はあくまで一般的な目安であり、車種や環境によって状況は異なります。
正確な情報は各機器の公式サイトやメーカーのデータを確認し、少しでも不安がある場合は、無理をせずキャンピングカー専門店などの専門家にご相談ください。
安全で快適な電源環境を整えて、最高の車中泊ライフを楽しみましょう。
