こんにちは。電源LABO、運営者の「きっちゃん」です。
せっかく30万円も出して組んだ自慢のゲーミングPC、もし今の瞬間に停電が起きたらどうなるか想像したことはありますか。
実は、雷サージやブレーカー落ちによる急な電源断は、大切なデータを一瞬で破壊したり、楽しんでいたApexやValorantのランクマッチで理不尽なペナルティを受けたりする深刻なリスクをはらんでいます。
パソコンが壊れる確率を少しでも減らし、安心してゲームに没頭できる環境を作るにはどうすればいいのか、多くのゲーマーが抱えるその不安を技術的な視点から解消します。
- 停電した瞬間にゲーミングPC内部で発生する故障のメカニズム
- 電源が入らなくなった時の正しい放電手順と復旧方法
- 雷ガードタップや「古い常識」での対策が通用しない理由
- 環境に合わせて選ぶ、UPSと最新ポータブル電源の最適な組み合わせ
ゲーミングPCが停電で壊れる確率とリスク
「たかが停電でしょ?再起動すれば直るはず」と軽く考えていると、ある日突然、取り返しのつかない事態に直面することになります。
特に最新のGPUを搭載した高性能なゲーミングPCは、一般的な家電やオフィス用PCとは比べ物にならないほど、電圧の変動や電力供給の品質に敏感な精密機器です。
ここでは、部屋の電気が消えたその瞬間に、PCのブラックボックス内部で一体何が起きているのか、そしてどのような損害が発生する可能性があるのか、そのリスクの全貌を技術的な観点から解剖します。
停電でパソコンが起動しない論理障害
停電直後に「PCがつかない」「Windowsが起動しない」というトラブルに見舞われた際、多くの人は「パーツが焼けたのではないか」と物理的な故障を疑います。
しかし、実際にはハードウェア自体は無傷でも、HDDやSSD内部のデータ構造が矛盾を起こして壊れてしまう「論理障害」が原因であるケースが圧倒的に多いのです。

Windowsなどの近年のオペレーティングシステム(OS)は、ユーザーが何も操作していない時でも、バックグラウンドで常に膨大な数のシステムログ、レジストリ、キャッシュファイルの読み書きを行っています。
特にNTFSというファイルシステムは、データの整合性を保つために複雑な管理を行っていますが、書き込み処理の真っ最中に突然電源が切断されると、ファイルの保存プロセスが中途半端な状態で強制終了されます。
これにより、「ファイルの実体はあるのに、管理簿(MFT)には記録されていない」あるいはその逆といった矛盾が生じ、システム全体の整合性が取れなくなってしまいます。
イメージとしては、図書館で本(データ)を棚に戻している最中に突然電気が消え、どの本をどこに戻したか記録する台帳(管理テーブル)を紛失してしまうような状態です。
論理障害が引き起こす具体的な悪夢
論理障害が発生すると、再起動時にWindowsは必死に自己修復を試みますが、ダメージが深刻な場合は以下のような状態に陥ります。
停電後に発生しやすい論理障害の症状
- ブルースクリーン(BSOD)のループ:
起動途中で致命的なエラーが発生し、再起動を繰り返す。 - 自動修復画面からのフリーズ:
「PCを診断中」「修復しようとしています」という画面から数時間経っても進まない。 - ブートローダーの破損:
「Operating System Not Found」や「No Boot Device」と表示され、SSD自体が見つからない扱いになる。
運が良ければWindows標準の「スタートアップ修復」やコマンドプロンプトからの「chkdsk」コマンドで直ることもありますが、システムの中枢部分(レジストリハイブなど)が破損していると、最悪の場合はOSのクリーンインストール(初期化)が必要になります。
これはつまり、時間をかけて構築したゲームのインストールデータ、MOD環境、配信設定などをすべて失い、一から作り直す羽目になることを意味します。
ブレーカー落ちや雷サージの物理的衝撃
「ドライヤーと電子レンジとエアコンを同時に使ったらブレーカーが落ちた」という経験は、誰にでもあるでしょう。
単なる使いすぎによる遮断であれば被害は少ないと思われがちですが、高負荷で稼働しているゲーミングPCにとっては、これは「心臓麻痺」に近い強烈なストレスとなります。
PCの電源が落ちる瞬間、および復旧して電気が流れ込む瞬間には、電圧が不安定に乱れる「過渡現象(トランジェント)」が発生します。
特に恐ろしいのは、一度下がった電圧が復旧時に跳ね上がる「スパイク」や、大量の電流が一気に流れ込む「突入電流(インラッシュカレント)」です。
雷サージによる一撃死のリスク

さらに危険なのが、雷による停電です。近隣への落雷が発生すると、電線やLANケーブル、アース線などを通じて、数千ボルトから数万ボルトもの異常電圧(雷サージ)がコンセントから侵入してくることがあります。
通常の家庭用電圧は100Vですが、この許容量を遥かに超えるエネルギーがPCの電源ユニット(PSU)を直撃すると、内部のコンデンサやバリスタといった保護部品が破裂し、そのままマザーボード、CPU、グラフィックボード(GPU)といった高価なパーツまで道連れにして物理的に焼き切ってしまうことがあるのです。
保護機能の過信は禁物
最近の高品質な電源ユニット(80PLUS Goldなど)には、OVP(過電圧保護)などの安全回路が搭載されています。
しかし、これらはあくまで「電源ユニット自身の安全」や「軽微な異常」を想定したものであり、直撃雷のような破壊的なエネルギーに対しては無力です。
「確率は低い」と油断せず、30万円の機材が一瞬でゴミになる「全損リスク」を常に想定しておくべきです。
雷で電源が入らない時の放電と対処法
もし停電や落雷の直後に、PCの電源ボタンを押してもファンすら回らない、LEDも点灯しないという状況に陥ったとしても、まだ諦めないでください。
「完全に壊れた」と判断する前に、必ず試すべき手順があります。
急激な電圧変動や電源断によって、マザーボード上のコンデンサや電源制御チップ(EC)に不要な電気が残留し、保護回路が「誤作動」を起こしてロック(ラッチアップ)がかかっている可能性があります。
この状態では、いくら電源ボタンを押してもPCは反応しません。
これを解消するためには、回路内の電気を空っぽにする「完全放電」を行う必要があります。
正しい放電の手順(デスクトップPC編)
- PCの電源スイッチをOFFにし、壁のコンセントから電源ケーブルを抜く。
- ここが重要ですが、マウス、キーボード、LANケーブル、HDMI/DPケーブル、USB機器など、PCに繋がっているすべてのケーブルを物理的に取り外します。
(ディスプレイケーブルを通じて電気が逆流している場合があるためです) - 箱だけの状態になったら、PCの電源ボタンを「30秒〜1分間」長押しし続けてください。
これにより、内部に残った微弱な電気が消費され、回路がリセットされます。 - その後、電源ケーブル(とディスプレイ、キーボード、マウスの最小構成)だけを繋ぎ、起動するか確認します。

多くのメーカー(NECや富士通など)も、トラブルシューティングの第一歩としてこの放電処置を推奨しています。
これで起動すれば、一時的な帯電が原因だったということで一安心です。
しかし、放電しても全く反応がない、あるいは電源ユニットから焦げ臭い匂いがする場合は、残念ながら物理的な故障の可能性が極めて高いと言えます。
Apex等のランクマッチで受けるペナルティ

ゲーマーにとって、ハードウェアの故障と同じくらい、あるいはそれ以上に精神的ダメージが大きいのが、「ランクマッチ中の切断ペナルティ」です。
現代のオンライン対戦ゲームにおいて、停電による切断は、プレイヤーの意思に関わらず「重大なルール違反」として処理されます。
例えば、Apex LegendsやValorant、Overwatch 2といった競技性の高いタイトルでは、切断の原因が「停電」なのか「負けそうになってLANケーブルを抜いた(意図的な回線切断)」なのかを、サーバー側が技術的に区別することは不可能です。
もし「停電なら許される」というルールにしてしまえば、悪質なプレイヤーが敗北回避のために意図的に電源を落とす行為が横行してしまうからです。
情け容赦のない処罰内容
その結果、運営システムは一律して以下のような厳しいペナルティを課します。
- ランクポイント(RP)の没収:
通常の敗北時よりも遥かに重いポイントがマイナスされます。
数時間の努力が一瞬で無駄になるだけでなく、ランク降格の引き金にもなります。 - マッチメイキング遅延(Ban):
「放棄ペナルティ」として、10分間〜数時間、次のゲームに参加できなくなります。
常習性が認められると、数日間の停止処分に発展することもあります。 - 「AFK」認定によるアカウント評価の低下:
ValorantのVanguardシステムなどは特に厳しく、停電による離脱を繰り返すと、アカウント自体が長期間のBAN(利用停止)対象となるリスクがあります。
「停電だったんだから仕方ないじゃないか」という言い訳は、運営のサポートには一切通じません。
また、ランクマッチ中にあなたが落ちることで、残されたチームメイトは圧倒的に不利な状況を強いられます。
友人との信頼関係や、ゲーマーとしての信用(Reputation)を守るためにも、電源環境の整備はマナーの一つと言えるのです。
SSDのデータ破損が起きるメカニズム
最近のゲーミングPCのストレージは、従来のHDD(ハードディスク)から、より高速なNVMe SSDへと完全に移行しました。
SSDは物理的な駆動部品がないため、HDDのように「停電で磁気ヘッドがディスクを傷つける(ヘッドクラッシュ)」という事故は起きません。
しかし、SSDはHDDとは全く異なる、「電力喪失に対する論理的な脆さ」を抱えています。
高速な読み書きを実現するために、多くのSSDは「DRAMキャッシュ」という一時保管場所を搭載しています。
OSが「データを保存した」と認識しても、実際にはデータはまだこのDRAM上にあり、NANDフラッシュメモリへの書き込みが完了していないというタイムラグが存在します。
「文鎮化」の恐怖
DRAMは揮発性メモリであり、電気が切れた瞬間にデータが消滅します。
ゲームのオートセーブ中やWindows Update中に停電が起きると、キャッシュ上のデータが飛ぶだけでなく、SSDがデータの物理的な配置場所を記録している「マッピングテーブル(FTL)」自体が破損することがあります。
この管理テーブルが壊れると、SSDのコントローラーはどこに何のデータがあるか分からなくなり、安全のためにドライブ全体をロックします。
これがいわゆる「文鎮化(Bricked)」と呼ばれる現象に繋がることがあります。
BIOS上からもSSDの容量が「0MB」と表示されたり、認識すらしなくなったりします。最新の高級SSDでは対策が進んでいますが、コストダウンのために保護機能を削った安価なSSDほど、このリスクは高くなります。
(出典:バッファロー データ復旧サービス『パソコンの電源が入らない!原因と対処法』)
ゲーミングPCが停電で壊れるのを防ぐ雷対策
ここまで、停電がもたらす恐ろしいリスクについて解説してきました。
「PCが壊れる」「データが消える」「ランクが下がる」。
これらを防ぐために、多くの人がまず思い浮かべるのが「雷ガードタップ」です。
しかし、残念ながらそれだけでは不十分です。
ここからは、ゲーミングPCを守るために本当に必要な、具体的かつ技術的な対策について深掘りします。
雷ガードだけで行う雷対策の限界

家電量販店やAmazonで千円程度で売られている「雷ガード機能付き電源タップ」。
これを導入しているから安心だと思っていませんか?
確かに、雷ガード(サージプロテクター)は、落雷時に発生する過大な電圧(雷サージ)を内部のバリスタという素子で吸収し、接続機器への流入を食い止める効果があります。
しかし、雷ガードの役割はあくまで「余分な電気をカットする」ことであり、「電気が途絶えた時に、電気を代わりに供給する」能力はゼロです。
つまり、雷が落ちて停電した瞬間、ある一定レベルまでの物理的な破壊(雷サージ)は防げたとしても、PCへの電力供給は即座に断たれ、ブツンと強制終了してしまいます。
先ほど解説した通り、Windowsのシステム破損やSSDの不具合は、異常電圧ではなく「急な電源喪失」によって引き起こされます。
したがって、雷ガードだけでは、最も頻繁に起こりうるデータ消失やシステムクラッシュのリスクを回避することはできないのです。
雷ガードとUPSの決定的な違い
- 雷ガード(サージ対策):
「堤防」のようなもの。一定レベルまでの過剰な攻撃(電圧)は防ぐが、兵糧攻め(停電)には無力。 - UPS(無停電電源装置):
「予備タンク」のようなもの。供給が断たれた瞬間に、即座に自前のバッテリーから電力を供給し、PCを稼働させ続ける。
ゲーミングPCの停電対策は正弦波UPS
結論として、ゲーミングPCを停電のリスクから完全に守る唯一の方法は、「無停電電源装置(UPS)」を導入することです。
UPSは、コンセントとPCの間に設置するバッテリー内蔵の装置で、停電を検知した瞬間にバッテリー駆動へと切り替え、PCを落とさずに安全にシャットダウンするための時間を稼いでくれます。
ただし、どんなUPSでも良いわけではありません。
ゲーミングPC、特に自作PCやBTOパソコンなどの高性能機を守るためには、絶対に守らなければならない選定ルールがあります。
それは、「正弦波(せいげんは)出力」に対応したモデルを選ぶことです。
なぜ「正弦波」でなければならないのか?

家庭用コンセントから来ている電気の波形は、滑らかなカーブを描く「正弦波」です。
そして、ゲーミングPCに搭載されている高性能な電源ユニット(80PLUS認証など)には、電力の変換効率を高めるための「PFC(力率改善回路)」という機能が必須で組み込まれています。
このPFC回路は、入力される電気が「正弦波」であることを前提に設計されています。
そのため、停電時にUPSから供給される電気が正弦波であれば、PCは何の違和感もなく動作を続けることができます。
安価な矩形波UPSが引き起こすトラブル
注意が必要なのは、Amazonなどで数千円〜1万円程度で販売されている安価なUPSです。
これらの多くは、バッテリー駆動時の出力波形が、カクカクとした階段状の「矩形波(くけいは)」や「近似正弦波」と呼ばれるタイプです。
矩形波の電気は、構造が単純なため安く作れますが、PFC回路を搭載したゲーミングPCの電源ユニットにとっては「質の悪い電気」以外の何物でもありません。
PFC電源に矩形波を入力すると、以下のような深刻なトラブルを引き起こすリスクがあります。
矩形波UPSを使った場合のリスク
- 異音の発生:
電源ユニットのコイルやコンデンサが共振し、「ジー」「ブーン」という大きな唸り音を上げる。 - 発熱と故障:
PFC回路が波形を補正しようとして無理な動作をし、異常発熱して寿命を縮める。 - 最悪のケース:
PFC回路が異常電圧を発生させ、発煙や発火に至るリスクすらあるため、ゲーミングPCへの接続は推奨されません。
これでは何のためにUPSを買ったのか分かりません。
「安いから」という理由で矩形波のUPSを選ぶことは、かえってPCを壊す原因になりかねないため、ゲーミングPCには必ず「ラインインタラクティブ方式」以上の「正弦波」モデルを選んでください。
ポータブル電源のUPS機能にある弱点
「キャンプや防災用にポータブル電源を持っているから、これをUPS代わりに使いたい」という方も多いでしょう。
実はここ数年でポータブル電源の技術は劇的に進化しており、以前の常識が通用しなくなっています。
しかし、それでもPC専用UPSにしかできない「ある決定的な機能」が存在します。
かつて「ポタ電はNG」と言われた理由
少し前までのポータブル電源は、停電してからバッテリー出力に切り替わるまでに「約30ミリ秒(30ms)」かかっていました。
一方、PC側の事情も変化しています。
最新のATX 3.1規格などでは、瞬間的な負荷変動への対応が強化された反面、電源断時の電圧維持時間(ホールドアップタイム)の要件が、従来の17msから12msへと短縮(緩和)されています。
つまり、最新PCだからといって停電に強いわけではなく、むしろシビアな電源管理が求められているのです。
そのため、切り替えに30msもかかる古いポータブル電源では到底間に合わず、停電した瞬間にPCが落ちてしまうリスクが高まっています。
最新機種は「10ms以下」でPC対応可能に!

しかし、EcoFlow DELTA 3 Plusなどの一部の最新機種では、この切り替え時間がPC専用UPSと同等の「10ミリ秒(10ms)以下」にまで短縮されています。
この速度であれば、ホールドアップタイムが短い現代のゲーミングPCでも、電源を落とさずに稼働させ続けることが可能です。
(※ただし、すべての新しいポータブル電源が10msに対応しているわけではありません。廉価版や別メーカー製品では依然として20〜30msの機種も多いため、購入時は必ずスペック表の「切替時間」を確認してください。)
それでも残る「自動シャットダウン不可」の弱点
では、10ms対応のポータブル電源があれば専用UPSは不要なのでしょうか?
答えは「使い方による」です。ポータブル電源には、PCとUSBケーブルで接続して「停電したら自動的にPCをシャットダウンさせる機能」がありません。
つまり、あなたがトイレやお風呂に入っている間、あるいは寝ている間に停電が起き、そのまま数時間復旧しなかった場合、ポータブル電源のバッテリーが尽きた時点でPCは「ブツン」と強制終了してしまいます。
これでは結局、データ破損のリスクを完全には防げません。「不在時の安全性」においては、依然として専用UPSに軍配が上がるのです。
ポータブル電源のメーカー注釈について
説明書に「医療機器やサーバーには使用しないでください」とあるのは、10msというわずかな瞬断すら許されない生命に関わる機器への配慮です。
PCの場合は内部コンデンサで10ms程度は耐えられるため実用上は問題ありませんが、厳密には「無瞬断」ではないことを理解しておきましょう。

30万円の機材を守る鉄板の機材セット
以上の技術的な背景を踏まえ、あなたのプレイスタイルに合わせた「2つの最適解」を提案します。
プランA:【スマート派】最新ポータブル電源単体(EcoFlow DELTA 3 Plus等)

「コストを抑えたい」「キャンプにも使いたい」「ゲームをするのは自分が部屋にいる時だけ」という方におすすめのプランです。
なぜ「DELTA 3 Plus」なのか? ゲーマーに推す3つの理由


- ① 業界最速級の充電速度(0-100%まで約56分):
これが遅いと、台風などで「停電→復旧→また停電」という状況に対応できません。
復電してたった1時間で満タンに戻るリカバリー能力は、ランクマッチを回すゲーマーにとって最強の武器です。 - ② 驚異の静音性(30dB以下):
安いポータブル電源はファンがうるさく、ボイチャ(VC)の邪魔になりますが、本機は図書館レベルの静かさ。
デスク下に置いても没入感を削ぎません。 - ③ コンパクトなのに高出力(1500W):
RTX 4090搭載のハイエンドPCでも余裕で動かせるパワーがありながら、デスク下の隙間に収まるサイズ感も魅力です。
注意点
「自動シャットダウン」ができないため、PCを起動したまま長時間席を外す(放置レベリングやサーバー運用など)には向きません。
また、購入時は必ず切替速度が10ms以下のモデル(Plusシリーズ等)であることを確認してください。

【推奨プラン】専用UPSとポタ電の「鉄壁」ハイブリッド構成

こちらは「どんな時でもPCを安全に終了させたい」「長時間稼働もさせたい」という、最強の環境を求める方へのプラン(プランB)です。
1. 盾 (自動保護):APC RS 1000 / 1200
【役割】
PCとUSBケーブルで接続し、停電時に「自動シャットダウン」を実行してシステムを守ります。
失敗しない型番選びと容量の目安
APCのUPSには多くの種類がありますが、ゲーミングPC用には必ず「BRシリーズ(正弦波モデル)」を選んでください。
ご自身のPCスペックに合わせて、以下の2モデルから選びます。
| 通称 | 正式型番 (検索用) | 容量 | 推奨ターゲット |
|---|---|---|---|
| RS 1000 | BR1000S-JP | 600W | RTX 4060 〜 4070 ミドルスペック構成向け |
| RS 1200 | BR1200S-JP | 720W | RTX 4070 Ti 〜 4090 ハイスペック構成向け |
【危険】安価な「BKシリーズ」に注意!
Amazonなどで少し安く売られている「BKシリーズ(例:BK750M-JP)」は、ゲーミングPCに不向きな「矩形波」出力です。
これをPFC電源搭載のゲーミングPCに使うと、異音や故障の原因になります。必ず型番が「BR」で始まり、末尾に正弦波(Sine Wave)を示す「S-JP」がついているモデルを選んでください。
2. 剣 (長時間稼働):EcoFlow DELTA 3 Plus
【役割】
UPSの上流(壁コンセント側)に接続し、UPSへ電気を送り続けることでバッテリー切れを防ぎます。
【選定理由:パススルーとアプリ連携】
通常時はバッテリーを経由せず電気を送る「パススルー」で動作するため、繋ぎっぱなしでもバッテリー劣化を最小限に抑えられます。
また、スマホアプリで「充電上限」を設定できるため、常時接続運用でも寿命を延ばす管理が可能です。
【重要】ハイブリッド接続時の「アース(接地)」問題
多くのポータブル電源のAC出力は、アースが取れていない(フローティング)仕様です。
ここにAPC製などの高機能UPSを接続すると、UPS側が「配線異常(Site Wiring Fault)」と判断し、警告ランプが点灯したり、充電を受け付けなかったりする相性問題が発生する場合があります。
ゲーミングPCが停電で壊れる前に備える保証と保険の意外な落とし穴
「もし壊れても、メーカー保証で直せばいいや」と考えていませんか?
実は、停電や雷による故障は、一般的な保証の対象外になることがほとんどです。対策を怠ると、修理費で泣きを見ることになりかねません。
メーカー保証は「停電・落雷」をカバーしてくれない

BTOメーカー(マウスコンピューターやガレリアなど)やパーツメーカーの一般的な「標準保証規定」をよく読んでみてください。そこには、衝撃的な事実が書かれています。
保証規定の「免責事項」の罠
ほとんどのメーカー保証において、火災、地震、水害、そして「落雷・異常電圧(サージ)」による故障は『天災』として扱われ、無償修理の対象外となります。
つまり、買って1週間しか経っていないPCでも、雷で壊れれば修理は「全額実費」になります。
マザーボードとGPU、電源ユニットの交換となれば、修理費用は20万円を超えることも珍しくありません。
この「保証の穴」を埋めるためにも、物理的なUPSによる自衛が必要不可欠なのです。
火災保険が使える可能性と条件
万が一、雷サージでPCが壊れてしまった場合、最後の頼みの綱となるのが「火災保険」です。
ご自宅で加入している火災保険に「家財(家財道具)」が含まれていれば、落雷による過電流で家電製品が故障した際に、保険金が下りるケースがあります。
ただし、これも万能ではありません。
- 特約の確認が重要:
単なる家財保険ではカバーされない場合があり、「落雷特約」や「電気的・機械的事故特約」が付帯されているかどうかが重要になります。 - 対象は「物理的な損害」のみ:
ハードウェアが焦げた場合は補償されますが、停電でHDDのデータが飛んだ、OSが壊れたといった「論理的な損害」や「データ復旧費用」は補償されないことが一般的です。 - 免責金額(自己負担):
「損害額が5万円以上なら支払う」といった条件がある場合、修理費によっては使えないこともあります。
(出典:損害保険ジャパン『落雷による損害』)
※保険の適用範囲は契約内容によります。必ずご自身の契約約款をご確認ください。
【Q&A】ゲーミングPCと停電・雷対策のよくある質問
最後に、電源LABOに寄せられる、ゲーマーの皆さんからのよくある疑問にお答えします。
- ノートPCのゲーミングモデルなら停電しても大丈夫ですか?
-
デスクトップよりは安全ですが、油断は禁物です。
ノートPCにはバッテリーが内蔵されているため、停電しても「瞬断」は起きません。その意味では最強のUPS内蔵PCと言えます。ただし、充電ケーブル(ACアダプタ)を通じて雷サージが侵入し、内部基盤を破壊するリスクは変わりません。
ノートPCであっても、雷ガードタップやサージ保護機能付きのUPSを経由させて接続することを強く推奨します。
- Q. 雷が鳴ったら電源コードを抜けば100%安全ですか?
-
物理的に抜くのが最強の対策ですが、LANケーブルも忘れずに。
コンセントを抜けば雷サージの侵入経路は断たれます。しかし、雷サージは電話線やLANケーブル(インターネット回線)からも侵入します。
PCを守るなら、電源だけでなくLANケーブルも抜く必要があります。
ただ、ランクマッチ中やレイドボス戦中に「雷が鳴ったから抜く」というのは現実的ではありませんよね。
だからこそ、繋ぎっぱなしでも守れるUPSが必要なのです。
- 停電から復旧したら、すぐに電源を入れてもいいですか?
-
数分待ってからONにするのが正解です。
停電復旧直後の電力網は電圧が不安定なことが多く、再び停電したり、電圧が急上昇(スパイク)したりすることがあります。電気が戻ってから少なくとも5分程度は様子を見て、照明などが安定していることを確認してからPCを起動するのが、プロの鉄則です。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ゲーミングPCにおける停電対策は、グラフィックボードのアップグレードのような派手さはありませんが、あなたの快適なゲームライフを足元から支える最も重要な土台です。
「あの時に対策しておけばよかった」と後悔する前に、ぜひ今日から、あなたの相棒であるPCを守るための環境作りを始めてみてください。
