【ポータブル電源】容量500Whでどれくらい使える？目安と計算・比較

こんにちは。電源LABO、運営者の「きっちゃん」です。

キャンプや車中泊、そして防災への備えとしてポータブル電源の購入を考えたとき、最初にぶつかる大きな壁が「容量選び」ではないでしょうか。

特に「500Whクラス」は、価格の手頃さと持ち運びやすさ、そして性能のバランスが取れた「ど真ん中」のモデルとして非常に人気があります。

しかし、いざ購入しようとすると、「500Whで実際に電気毛布は何時間使えるの？」「停電したとき、家族全員のスマホを何回充電できるの？」といった具体的な使用イメージが湧かず、不安を感じている方も多いはずです。

カタログに書かれた数字だけを見て「これなら足りるだろう」と安易に選んでしまうと、いざという時に「あと少しでバッテリーが切れてしまった…」なんてことになりかねません。

ポータブル電源は決して安い買い物ではないからこそ、数字の裏にある「実効容量」や、自分の用途に合っているかを正しく理解することが大切です。

この記事では、ポータブル電源マニアである私が、500Whクラスの持つポテンシャルを徹底的に解剖し、計算上のスペックだけでなく、実際のフィールドで「どれくらい使えるのか」をリアルな視点で解説します。

これを読めば、あなたに必要な容量が500Whなのか、それとも別のクラスなのかが明確になるはずです。

ポータブル電源500Whでどれくらい家電は使える？

「500Wh」という容量は、ポータブル電源市場において最も標準的なサイズと言えますが、その実力を正しく把握できている人は意外と少ないものです。

ここでは、まず500Whクラスで「できること」と「できないこと」を明確にし、実際に使える時間の計算方法や、電気代のコストパフォーマンスについて深掘りしていきます。

500Whでどんな家電が使えるか目安をチェック

結論から申し上げますと、500Whクラスのポータブル電源は、「ソロからデュオ（2人）での1泊キャンプ」や「日帰りの車中泊」、「停電時における情報通信機器のバックアップ」に最適なサイズ感を持っています。

このクラスの多くのモデルは、AC（コンセント）の定格出力が500W〜700W程度に設定されています。

これは、スマートフォンやノートパソコンはもちろん、扇風機、電気毛布、車載冷蔵庫、小型の調理家電など、身の回りの多くの家電を動かせるパワーを持っていることを意味します。

具体的に使える家電と使用時間の目安

500Whクラス（実効容量約400Wh想定）で、主要な家電がどれくらい使えるのかをリストアップしました。

あくまで目安ですが、購入前のイメージ作りにお役立てください。

家電製品	消費電力（目安）	使用可能時間・回数	実用性
スマートフォン	10〜15Wh	約30〜35回	◎（家族全員分でも数日余裕）
ノートパソコン	50〜60Wh	約6〜7回フル充電	◎（テレワークや映画鑑賞に最適）
LEDランタン	10W	約40時間以上	◎（2泊以上のキャンプでも安心）
扇風機（AC）	30W	約12時間前後	◎（夏のキャンプや停電対策に）
電気毛布	30〜50W	約8〜12時間	◎（冬の車中泊の必需品）
車載冷蔵庫	平均40W	約10〜12時間	○（一晩の保冷維持なら十分）
電気ケトル	1200W	使用不可（一部機種除く）	△（高出力モデルなら短時間可）

動かない家電に注意

500Whクラスで注意が必要なのは、「熱を発生させる高出力家電」です。

一般的な家庭用ドライヤー（1200W）、電子レンジ（1000W以上）、IHクッキングヒーターなどは、ポータブル電源の定格出力を超えてしまうため、基本的には動作しません。

ただし、最近ではEcoFlowの「X-Boost」やBLUETTIの「電力リフト」機能のように、電圧を下げることで消費電力を無理やり抑え、500W〜700W程度の出力でも1000W級の家電を（パワーは落ちますが）動かせる機種が増えています。

「どうしてもドライヤーを使いたいけれど、荷物は軽くしたい」という方は、こうした昇圧機能を持つモデルを選ぶのが賢い選択です。

使用時間の計算方法とWh表記の落とし穴

ポータブル電源を選ぶ際に絶対に知っておいていただきたいのが、「表記されている容量（Wh）がそのまま全部使えるわけではない」という事実です。

これを理解していないと、計算上は足りるはずなのに現場で電気が切れてしまう、というトラブルに見舞われます。

実効容量という考え方

ポータブル電源には、バッテリーを保護し、安全に電気を変換するためのロスが存在します。

これらの要因を考慮すると、私たちが実際に家電を動かすために使える容量（実効容量）は、公称スペックの約80%〜85%程度になります。

例：500Whのポータブル電源の場合
500Wh × 0.8 ＝ 400Wh

つまり、「500Whの電源」を買っても、計算上は「400Whの電源」として計画を立てるのが、失敗しないための鉄則です。

例えば、消費電力100Wの液晶テレビを見たい場合、「500 ÷ 100 = 5時間」ではなく、「400 ÷ 100 = 4時間」と見積もる必要があります。

なお、W（ワット）やWh（ワットアワー）といった単位の違いや、より詳しい計算の仕組みについては、以下の記事で初心者の方にも分かりやすく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
⇒W（ワット）とWh（ワットアワー）の違いを解説！最適なポータブル電源選びの鍵

キャンプの電気毛布や車中泊での限界を知る

500Whクラスを購入する目的として最も多いのが、「冬キャンプでの電気毛布」や「夏の車中泊での扇風機」ではないでしょうか。

これらは快適な睡眠に直結するため、バッテリー切れは死活問題です。

ここでは、季節ごとの限界ラインをシビアに検証します。

冬キャンプ：電気毛布は朝まで持つか？

結論から言うと、「電気毛布1枚なら余裕、2枚なら工夫が必要」です。

一般的な電気毛布の消費電力は「強」で約50W〜75Wですが、電気毛布にはサーモスタット（温度調整機能）が付いています。

一度布団の中が温まれば通電が止まり、温度が下がるとまた通電するため、一晩を通した平均消費電力は「中」設定で30W〜40W程度に落ち着くことが多いです。

夏車中泊：扇風機はどれくらい回せる？

夏の車中泊において、扇風機は熱中症を防ぐための命綱です。

扇風機には「ACモーター（従来型）」と「DCモーター（静音・省エネ型）」がありますが、ポータブル電源で使うなら断然DCモーターがおすすめです。

DCモーターの扇風機は、微風〜中風モードなら消費電力はわずか5W〜15W程度です。

仮に15Wで回し続けたとしても、400Wh ÷ 15W ≒ 約26時間も稼働します。

これなら、夕方から翌日の昼過ぎまで回しっぱなしにしてもバッテリーは切れません。

500Whクラスは、夏の車中泊においては最強のパートナーと言えるでしょう。

防災の目安になるスマホ充電とテレビ視聴

近年、台風や地震による大規模停電が頻発しており、防災用としてポータブル電源を備える家庭が急増しています。

災害時において、500Whクラスは「情報のライフライン」を維持するための砦となります。

スマホ充電：家族全員分を何日守れるか

災害時に最も恐ろしいのは「情報からの孤立」です。

スマートフォンのバッテリー切れは、安否確認や避難情報の取得ができなくなることを意味します。

スマートフォンのバッテリー容量は約10Wh〜15Wh程度です。

500Whクラス（実効容量400Wh）があれば、単純計算で約30回〜40回のフル充電が可能です。

例えば4人家族で、1人1日1回充電したとしても、約1週間〜10日間はスマホの電源を維持できます。

モバイルバッテリーではせいぜい1〜2回しか充電できないことを考えると、この安心感は絶大です。

（出典：内閣府『南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン』）
※内閣府も、災害時の情報収集手段としてスマホ等の電源確保の重要性を指摘しています。

テレビでの情報収集

停電時、スマホの電波が繋がりにくい状況では、テレビのニュース放送が貴重な情報源になります。

大型テレビを長時間見続けるのは電力消費が激しいため推奨できませんが、1時間に10分程度ニュースを確認する使い方なら数日間運用可能です。

より省エネを目指すなら、消費電力の少ないポータブルテレビやラジオを併用することで、貴重な電力をさらに温存できます。

1回の充電にかかる電気代はいくら？

「ポータブル電源を買っても、充電するたびに電気代がかかるのでは？」と心配される方もいるかもしれません。

しかし、実際にかかるコストは皆さんが想像するよりもはるかに安価です。

日本の電気料金の平均単価を31円/kWhとして計算してみましょう。

500Whは0.5kWhですので、計算式は以下のようになります。

充電時のロスを含めても、1回満タンにするコストは約15円〜20円程度です。

もし毎日使い切って毎日充電したとしても、月額で約450円〜600円。

このわずかなコストで、キャンプでの快適な時間や、停電時の安心感が手に入るなら、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるのではないでしょうか。

ポータブル電源500Whはどれくらい用途に合うか

ここまで500Whクラスの具体的な使用イメージをお伝えしてきましたが、それでも「もっと小さい300Whで十分かも？」「いや、念のため1000Whにしておいた方が…」と迷っている方もいるでしょう。

ここからは、他の容量帯との比較や、メーカーごとの特徴を整理し、あなたにとってのベストバイを見極めるための判断材料を提供します。

容量1000Whや300Whとどっちを選ぶ？

ポータブル電源選びにおいて、「大は小を兼ねる」は必ずしも正解ではありません。

容量が大きくなれば、それだけ重く、大きく、そして高価になるからです。

まずは、各クラスのざっくりとした違いを一覧表で確認してみましょう。

容量クラス	重量 / 価格（目安）	最適な用途
300Wh （軽量）	3kg〜4kg 約3万円	日帰りレジャー スマホ充電メイン
500Wh （標準）	6kg〜8kg 約5〜7万円	1泊キャンプ・車中泊 防災入門用
1000Wh〜 （大容量）	10kg以上 10万円〜	ファミリー連泊 高出力家電の利用

それぞれのクラスについて、もう少し詳しく「どんな人に向いているか」を解説します。

300Whクラス：軽さ重視の日帰り・サブ機

リュックに入れて持ち運べるほどの「軽さ」が最大の武器です。

ピクニックやデイキャンプ、あるいはカフェでのテレワークなど、手軽に電気を持ち出したいシーンで活躍します。

ただし、実効容量は約240Wh程度しかなく、出力も弱いため、電気毛布を一晩使ったり、ケトルでお湯を沸かしたりすることはできません。

「スマホやカメラの充電ができれば十分」という割り切りが必要です。

300Whで何ができるのか、どんな機種があるのかこちらの記事で詳しく取り上げています。
⇒【ポータブル電源】容量300Whで何ができる？実用性と限界を徹底解説

500Whクラス：バランス最強の入門・1泊用

「重すぎるのは嫌だけど、しっかり家電を使いたい」というワガママな要望に応えてくれるスイートスポットです。

片手で持てるサイズ感ながら、電気毛布を一晩使える容量を確保しており、ソロ〜デュオキャンプや車中泊には最適解と言えます。

電子レンジなどの高熱家電は苦手ですが、それ以外はなんでもこなせる万能選手なので、初めての1台として選んで後悔することが最も少ないクラスです。

1000Whクラス：家電をフル活用する連泊・防災用

「家のコンセントと同じ感覚で使いたい」ならこのクラスです。

電子レンジ、ドライヤー、IH調理器など、消費電力の高い家電も動かせるパワーがあります。

頼もしい反面、重量は10kgを超えてくるため、頻繁な持ち運びには気合がいります。

「据え置きに近い防災用」や「車移動が前提の連泊」など、目的が明確な方におすすめです。

失敗しないスペックの見方と主要7社比較表

いざ500Whクラスを買おうと決めても、市場には数多くのメーカーが存在し、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。

2025年から2026年にかけてのトレンドとして、以下の3つのポイントをチェックすれば失敗しません。

これらを踏まえ、現在人気の主要メーカー最新500Whクラスモデルをスペック比較表にまとめました。

① 基本性能スペック比較

項目		EcoFlow RIVER 2 Max	Jackery 500 New	BLUETTI AC50B	Anker 535 (PowerHouse)	PECRON E500LFP	YOSHINO B600 SST	ALLPOWERS S700
商品画像
公式サイト		公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ
基本性能	バッテリー容量	512Wh	512Wh	448Wh	512Wh	576Wh	602Wh	604Wh
	バッテリー種類	リン酸鉄リチウムイオン	リン酸鉄リチウムイオン	リン酸鉄リチウムイオン	リン酸鉄リチウムイオン	リン酸鉄リチウムイオン	全固体電池（三元系リチウムイオン）	三元系リチウムイオン
	サイクル寿命	約3,000回	約6,000回	3,000回以上	3,000回以上	3,500回以上	4,000回以上	約1,000回
	容量拡張	非対応	非対応	対応 (B80接続)	非対応	非対応	非対応	非対応

② AC出力性能（家電の使用）

項目		EcoFlow RIVER 2 Max	Jackery 500 New	BLUETTI AC50B	Anker 535 (PowerHouse)	PECRON E500LFP	YOSHINO B600 SST	ALLPOWERS S700
AC出力	定格出力	500W	500W	700W	500W	600W	600W	700W
	瞬間最大 (サージ)	1000W	1000W	1000W (電力リフト)	750W	600W	1200W	1400W
	電力リフト	X-Boost (750W)	非対応	対応	非対応	非対応	非対応	非対応

③ 搭載ポート（使い勝手）

項目		EcoFlow RIVER 2 Max	Jackery 500 New	BLUETTI AC50B	Anker 535 (PowerHouse)	PECRON E500LFP	YOSHINO B600 SST	ALLPOWERS S700
ポート	ACコンセント	4口	2口	2口	4口	2口	3口	2口
	USB-C (最大W)	100W x1	100W x1 30W x1	65W x2	60W x1	100W x1	100W x1 20W x1	100W x1
	USB-A	3口	1口	1口	3口	2口	2口	3口
	シガー出力	1口	1口	1口	1口	1口	1口(変換)	1口
	DC5521出力	2口	非対応	非対応	非対応	2口	2口	2口
	ワイヤレス充電	非対応	非対応	非対応	非対応	対応 (15W)	非対応	非対応

④ 充電性能（入力）

項目		EcoFlow RIVER 2 Max	Jackery 500 New	BLUETTI AC50B	Anker 535 (PowerHouse)	PECRON E500LFP	YOSHINO B600 SST	ALLPOWERS S700
充電性能	AC最大入力	660W	500W	580W	120W(アダプタ)	500W	非公開	非公開
	AC満充電時間	約60分	約70分	約70分	約2.5時間 (80％)	約1.6時間	約4時間（80％）	約2時間
	ソーラー入力	220W	100W	200W	120W	100W	100W	100W
	シガー充電	対応	対応	対応	対応	対応	対応	対応

⑤ サイズ・重量・その他

項目		EcoFlow RIVER 2 Max	Jackery 500 New	BLUETTI AC50B	Anker 535 (PowerHouse)	PECRON E500LFP	YOSHINO B600 SST	ALLPOWERS S700
その他	本体重量	約6.1kg	約5.7kg	約6.7kg	約7.6kg	約6.75kg	約7.7kg	約5.3kg
	サイズ(cm)	27.0×26.0 x19.6	31.1×20.5 x15.7	28.0×20.0 x22.0	29.2×25.1 x18.8	25.4×17.2 x18.9	29.6×20.4 x25.6	26.3×14.0 x18.0
	UPS速度	<30ms(EPS)	10ms	20ms	非対応	20ms	非対応	あり
	保証期間	5年	5年	5年	5年	2+3年	5年	2+3年
	公式価格 （定価）	\64,900	\59,800	\79,800	\64,900	\81,900	\99,900	\59,999
	最新のセール情報を確認する	公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ	公式ページ

軽さを最優先するなら「ALLPOWERS S700」（約5.3kg）や、リン酸鉄リチウム搭載モデルとしては最軽量クラスの「Jackery 500 New」（約5.7kg）、「EcoFlow RIVER 2 Max」（約6.1kg）が有力候補です。

一方で、コストパフォーマンスを最優先するなら、3万円台で購入可能な「PECRON E500LFP」が圧倒的です。

信頼性とバランスを重視するなら、保証期間が長く機能も充実しているEcoFlowやAnkerも根強い人気を誇ります。

長寿命で安全なおすすめリン酸鉄リチウムイオン電池

これから500Whクラスのポータブル電源を購入するなら、絶対にこだわってほしいスペックがあります。

それは、搭載されているバッテリーの種類が「リン酸鉄リチウムイオン電池（LiFePO4）」であるかどうかです。

少し前まで、ポータブル電源のバッテリーといえば「三元系（NCM）」と呼ばれるリチウムイオン電池が主流でした。

三元系はエネルギー密度が高く、バッテリーを軽く小さく作れるという大きなメリットがありましたが、その反面、熱暴走による発火リスクが比較的高いことや、充放電を繰り返せる回数（サイクル寿命）が500回〜800回程度と短いことが弱点でした。

毎日使えば2〜3年でバッテリーが劣化してしまい、使い物にならなくなってしまうのです。

これに対し、現在主流となりつつある「リン酸鉄リチウムイオン電池（LFP）」は、ポータブル電源の常識を覆す性能を持っています。

「500Whクラス」は、防災リュックに入れて持ち運ぶようなモバイルバッテリーとは違い、一度買ったら長く使い続ける「資産」のような家電です。

数年で買い替えるコストを考えれば、多少重量が重くなったとしても、10年以上使えるLFP搭載モデルを選ぶ方が、長期的なコストパフォーマンスは圧倒的に良くなります。

現在販売されている最新モデル（EcoFlow RIVER 2シリーズ、Jackery 500 New、Anker PowerHouseシリーズなど）は、ほぼ全てこのリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しています。

中古品や型落ちのセール品を買う際は、安易に飛びつかず、必ずスペック表の「電池の種類」を確認するようにしてください。

なお、リン酸鉄リチウムイオン電池の特性や、数少ないデメリットについては、以下の記事でさらに詳しく掘り下げています。

「重いって聞くけど本当？」「寒さに弱いって本当？」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
⇒LFPの弱点？リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのデメリット

次世代の「全固体電池」にも注目

さらに最近では、リン酸鉄リチウムすら過去のものにしようとする新技術「全固体電池」を搭載したモデル（YOSHINO B600 SSTなど）も登場しています。

全固体電池は、バッテリー内部の液体を固体に置き換えることで、液漏れや発火のリスクを物理的にゼロにし、さらにエネルギー密度を高めて「軽くて安全」を実現した夢のバッテリーです。

価格はまだ高めですが、安全性と携帯性を究極まで追求したい方には、有力な選択肢となるでしょう。

ソーラーパネルでの充電時間と必要性

500Whクラスのポータブル電源を「ただの大きな蓄電池」で終わらせないために、ぜひセットで検討していただきたいのが「ソーラーパネル（太陽光発電）」です。

500Whという容量は、電気毛布を一晩使ったり、家族でスマホを充電し続けたりすると、1日〜2日で空になってしまいます。

コンセントが使えるキャンプ場や自宅なら問題ありませんが、停電が数日間続くような災害時や、電源のない場所での連泊キャンプでは、バッテリー切れ＝ただの重い箱になってしまいます。

そんな時、ソーラーパネルがあれば、太陽が出ている限り自力で電気を生み出し、ポータブル電源を再充電することができます。

これは、電気の供給がストップした世界で「無限のエネルギー」を手に入れるようなもので、精神的な安心感が全く違います。

500Whクラスに最適なソーラーパネルの選び方

ソーラーパネルには様々なサイズ（W数）がありますが、500Whクラスのポータブル電源には、取り回しの良さと発電能力のバランスが良い「100W〜160W」クラスの折りたたみ式パネルが最適です。

パネル出力	500Wh満充電までの目安（晴天時）	使い勝手と特徴
60W〜80W	約10時間〜14時間 （1日で満充電は厳しい）	非常にコンパクトで安価だが、パワー不足。スマホ充電の補完程度と考えた方が良い。
100W〜120W	約6時間〜8時間 （晴天なら1日で満充電可能）	最もバランスが良いサイズ感。折りたたむと薄くなり、収納場所にも困らない。500Whクラスにはこれがベストマッチ。
160W〜200W	約3時間〜4時間 （半日で満充電可能）	充電速度は速いが、パネル自体が大きく重くなる（5kg〜）。車移動がメインで、とにかく早く電気を回復させたい人向け。

500Whクラスのポータブル電源には、100W前後のソーラーパネルが最も扱いやすく、コストパフォーマンスにも優れています。

特に、メーカーがセット販売している「ソーラージェネレーター（本体＋パネルのセット）」は、単品で買い揃えるよりも価格が安く設定されていることが多く、ケーブルの接続互換性を気にする必要もありません。

「防災のために買う」という方は、後から買い足すのではなく、最初からセットモデルを選んでおくのが最も賢い選択です。

ポータブル電源500Whがどれくらい必要か総括

ここまで、500Whクラスのポータブル電源について、「どれくらい使えるのか」という疑問に対し、実効容量の計算から具体的な使用シーン、そして他クラスとの比較まで徹底的に解説してきました。

最後に、この記事の要点をまとめます。

500Whクラスの「できること」まとめ

500Whクラスは、決して「家のコンセントと同じように何でも無制限に使える魔法の箱」ではありません。

しかし、その限界（どれくらい使えるか）を正しく理解し、適切な家電と組み合わせて運用すれば、これほど頼りになる相棒はいません。

重くて高価な1000Whオーバーのモデルを持て余すよりも、片手でさっと持ち出せて、必要な電力をしっかり確保できる500Whクラスこそ、多くの人にとって「最初の1台」としての最適解です。

「300Whでは心もとないけれど、1000Whはオーバースペックかも…」と悩んでいたあなたが、この記事を通して「500Whこそが自分に必要なサイズだ！」と確信し、電気のある安心で快適なアウトドアライフ、そして万全の防災対策をスタートできることを願っています。